2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06498
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
若佐 裕治 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (60263620)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 制御系設計 / 深層学習 / データ駆動制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、近年飛躍的に進展した深層学習の諸技術をデータ駆動型制御系設計法に適用し、不感帯やヒステリシスなどのさまざまな非線形性を有する制御対象に対して、統一的に良好な制御性能を与えるニューラルネットワークによる制御器、および補償器を構成する方法の開発を行う。また、通常制御系を設計する際には、設計者の試行錯誤による各種設定が必要であるが、この設定作業を深層学習、およびニューラルネットワークの諸技術を用いて低減させる方法を検討する。
本年度は、まず、LSTM (Long Short-Term Memory) とよばれる再帰型ニューラルネットワークを制御器として用い、VRFT (Virtual Reference Feedback Tuning) によって、LSTMの重み調整を行う制御器調整法について検討した。LSTMは標準的な再帰型ニューラルネットワークに比べ、いわゆる勾配消失問題という学習過程の問題を解決する方法であり、時系列データを扱う言語処理、動画像処理への応用に実績がある。一方、VRFTは制御対象の数学モデルを用いず、実験データのみから、制御器調整を可能にする実用上簡易な手法である。これらを組み合わせることにより、同一構造の制御器によって、データのみから、制御対象のさまざまな非線形性に対応可能な制御器調整法を提案した。本成果を第29回計測自動制御学会中国支部学術講演会において発表した。さらに、本手法において計算時間を要するという問題点を解決するために、LSTMの代替として、ESN (Echo State Network)とよばれる再帰型ニューラルネットワークの使用を検討し、良好な結果を確認した。この成果については、次年度発表する予定で準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
深層学習の技術を応用したデータ駆動型制御器調整法の基礎的検討については、おおむね順調に推進できたと考えている。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の流行により、実験システムの構築、および提案法の有効性の実験検証に想定以上の時間を要した。実験をさまざまな観点から行い、当初の目的をより精緻に検証した上で、研究成果をまとめる必要があることから、研究期間を1年延長することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに検討したデータ駆動型制御器調整法に対して、さまざまな観点から実験検証を行い、提案法の有効性を確認する。とくにESNによるデータ駆動型制御器調整法については、オフライン制御器調整だけでなく、オンライン制御器調整の可能性を検討し、追加実験を行う。さらに、これまでの研究成果を総括し、国内外の学術会議、論文誌等で成果発表を行う。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により、研究の推進に遅れが生じ、当初計画していた研究発表を見送ったことなどにより未使用額が生じた。未使用額は研究成果発表のために使用する予定である。また、必要に応じて実験検証のための消耗品の購入にも充当する予定である。
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Research Products
(9 results)