2018 Fiscal Year Research-status Report
四国で発生するフライアッシュ及び銅スラグを多量用いたコンクリートの基礎的研究
Project/Area Number |
17K06526
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Research Institution | Kochi National College of Technology |
Principal Investigator |
横井 克則 高知工業高等専門学校, ソーシャルデザイン工学科, 教授 (80240183)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | フライアッシュ / 銅スラグ骨材 / 重量コンクリート / 副産物有効利用 |
Outline of Annual Research Achievements |
高知県では南海トラフ巨大地震によって,日本最大規模の津波の到来が予測されるため,港湾部における津波対策の一環として消波ブロックが増設されている。また,耐波安定性を得るためには単位容積質量の寄与が大きいことから,消波ブロックの重量化が効果的である。従来の消波ブロックでは大型であっても,大きな波が来た際には転倒することもあり,今後予想される大津波に対する耐波安定性が十分でないことも考えられる。そのため,密度の大きい材料を使用した重量コンクリートを用いて消波ブロックの重量化を図ることで,大規模な津波に対しても十分な耐波安定性を確保する必要がある。 四国では,銅やマンガン合金の製錬時に排出されるスラグを粒度調整し,コンクリート用骨材とした銅スラグ細骨材(以下,CUSと称す)およびマンガンスラグ骨材といった密度の大きい骨材が供給されている。したがって,これらのスラグ骨材の利用により重量なコンクリートを製造・供給しやすい環境にある。 しかしながら,スラグ骨材はその密度やガラス質な表面を持つことから,使用によりブリーディングの増大が懸念される。ブリーディング抑制には,フライアッシュ(以下,FAと称す)の混和が効果的であり,四国では良質なフライアッシュが供給されている。またFAの混和は,ワーカビリティを損なうことなく単位水量の減少が可能と考えられ,単位水量の低下はコンクリートの重量化にも寄与する。 以上を踏まえ本研究では,四国で供給される各種副産物由来のコンクリート材料を有効利用した重量コンクリートの開発を目的に,細骨材としてCUSおよび粗骨材としてマンガンスラグ粗骨材(以下,MNGと称す)を全量使用し,さらにフライアッシュを多量に混和した重量コンクリートの施工性能,強度特性および乾燥収縮特性について検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は,フライアッシュを結合材や細骨材補充材として多量使用した場合のセメントの種類による影響について検討を行った。特に土木配合で用いられる高炉セメントを用いたコンクリートの強度特性,耐久性,疲労強度について,本校現有の試験機を使用して実験を行い,基礎データの蓄積をはかった。 平成30年度は,フライアッシュと銅スラグそれぞれの特徴を活かし,高知県沿岸部の津波対策工事で使用するための重量コンクリートについて検討した。同様に,強度特性,耐久性,疲労強度,化学抵抗性及び断熱温度上昇について検討し,海洋コンクリートとして使用するための基本配合を設定した。しかし,長期暴露試験用の試験体を作製し,さらなる耐久性について検討する予定であったが,そこまでは至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の成果を実用化するための方策を検討している。県内の建設会社や生コンクリート工場に積極的に本研究の成果をPRし,試験施工等で導入してもらえるようにしたい。困難な場合は,実験室レベルにはなるが可能な範囲で大型ブロックを製作する準備をし,施工面の問題点や硬化コンクリートの長期耐久性について検討を進める予定である。
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Causes of Carryover |
平成30年度実施予定であった長期耐久性試験用の試験体の作製を次年度に実施することになり,そのための費用を確保するため,当初予定していた人件費・謝金を削減した。 今年度が本研究の最終年度になるが,実験等が継続するため,そのための物品費等で使用する予定である。
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Research Products
(8 results)