2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06528
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
茂木 秀則 埼玉大学, 理工学研究科, 准教授 (80261882)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | フィルダム堤体の物性の変化 / NIOM法 / FE-BE解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は荒砥沢ダム(宮城県)の2019/6月までの地震記録の解析,奈良俣ダム(群馬県)の地震記録の解析を行った.荒砥沢ダムの解析では,昨年度報告の結果と調和的な結果が得られており,伝播時間の緩やかな減少,上区間(EL.250m-279m)の上下流方向成分では貯水位の変化による伝播時間の変化がみられた.また,本年度は強震動による著しい非線形化が生じる前の地震観測記録に基づいて,堤体の速度構造を検討した.得られたモデルはS波速度 278.1 z^0.415/2 となった.室内実験結果によると土質材料の剪断弾性係数は拘束圧の平方根にほぼ比例するとされるが,その一般的な知見に近い値が得られている.しかし,ながらこの式に基づいた2次元FE-BE応答解析では固有振動数が2.5Hzとなり観測の卓越振動数3.0Hzよりも小さい結果となった.昨年度の他ダムの解析におけるコアゾーンと上下流ロックゾーンの伝播速度の違いを考慮して,ロックゾーンの剛性を1.2倍に増加することで堤頂/監査廊間の観測スペクトル比を説明することができることを示した.本結果は17th WCEE(2020/9)にて公表される. 奈良俣ダムでは上下流法面に地震計があるため,監査廊と堤頂間の他,監査廊と上下流法面間のロックゾーンの伝播速度を検討した.その結果,上流側のS波速度が下流側よりもわずかながら遅いのに対して,P波速度は上流側が著しく大きいなどの特徴が検出された.本ダムでは2004年中越地震(震央距離60km程度)において比較的強い地震動が観測されているため,強震動による非線形化の検討を行い,主要動で10%~15\%程度の伝播時間の増加を検出した.想定地震動と比較して大きな地震動ではないが,地震動の影響の程度を堤体の物性変化として把握することは,地震直後の堤体の健全性の検証に有用な判断材料になるものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究で中心的に扱っている荒砥沢ダムは監査廊において1Gを超える地震動が生じており, さらに現在に至るまで中小の地震が継続的に観測されており,きわめて貴重なデータとなっている. このため一年間期間を延長していただき,令和元年度の解析結果を加えつつ総合的にまとめている状況であり,本年度中に公表を目指している.
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Strategy for Future Research Activity |
上述のように荒砥沢ダムは記録はきわめて貴重なデータとなっているため,本ダムにおけるNIOM解析による伝播速度解析とFE-BE解析による地震応答解析を併用し,総合的に堤体の振動特性論じる予定である.
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Causes of Carryover |
本研究で中心的に扱った荒砥沢ダムは監査廊において1Gを超える地震動が生じており,さらに現在に至るまで中小の地震が継続的に観測されており,きわめて貴重なデータとなっている. このため一年間期間を延長していただき,令和元年度の解析結果を加えつつ総合的にまとめている状況であり,本年度中に公表を目指している.
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Research Products
(1 results)