2017 Fiscal Year Research-status Report
高強度鋼の素材疲労強度を加味した溶接継手部の疲労強度向上法の提案
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17K06530
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| Research Institution | Gifu University |
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Principal Investigator |
木下 幸治 岐阜大学, 工学部, 准教授 (90452169)
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| Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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| Keywords | 橋梁用降伏点鋼板 / 疲労試験 / 残留応力 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
鋼橋への高強度鋼の適用は，軽量化や製作コスト低減など，極めて大きな効果が期待できるため，世界的に増加している．しかし，高強度鋼は切欠き感度が高いために，応力集中が起こる溶接部の疲労強度の確保が重要な課題である．本研究は，この課題の達成を目的とするもので，高強度鋼の“素材疲労強度”を合理的に加味した疲労強度向上法の提示を目的とする．以下に，H29年度の成果について示す．
１）橋梁用降伏点鋼板の素材疲労強度の把握のために，申請者のこれまでの研究実績であるSBHS700との比較を目的にSBHS500の素材試験体の疲労試験を行うとともに，金属材料素材の疲労限度を評価可能な√areaモデル適用性を検証し，√areaモデルによりSBHS700とSBHS500の疲労限を評価可能であることを示した上で，両鋼材の疲労限を提案した．
２）応力集中部近傍の溶接残留応力の解明のために，溶接残留応力を変化させた試験体の残留応力をX線残留応力計測機により計測した．ここでは，小型試験体と大型試験体を製作することで試験体幅・長さを変えて残留応力を変化させた試験体を対象とした．計測の結果，小型試験体に比べ幅が広い大型試験体の方が，応力集中部近傍の残留応力が幅方向に広範囲に高くなることを明らかとした．その上で，熱弾塑性解析に基づく溶接残留応力のシュミレーションを行い，解析的にX線残留応力計測結果を概ね再現可能とした．今後は，残留応力のパラメータ解析により各種要因の検討を進めることが可能となった．
３）素材疲労強度を加味した疲労強度向上効果の解明に向けて，提案したSBHS700の疲労限を加味したピーニング処理部の疲労強度評価を行い，既往の評価手法に比べてより高い精度により疲労強度を評価可能であることを明らかとした．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では，700MPa級の橋梁用高降伏点鋼板（SBHS700）を用いた溶接継手について，疲労強度評価，溶接部の金属組織の解析，破断部の切欠き感度の推定，溶接残留応力の評価を総合して，高強度鋼の“素材疲労強度”を加味した疲労強度向上メカニズムを解明する．H29年度の研究実績に示したように，各検討項目において下記のような進捗が得られており，想定通りの進捗が得られている．
１）素材疲労強度に及ぼす切欠き感度の影響に対して，SBHS500とSBHS700の素材疲労強度を明らかにするとともに，その疲労限の提案のために，√areaパラメータモデルが適用可能であることを明らかとしている．今後，切り欠き感度を明らかとするための疲労試験を行う予定である．
２）応力集中部近傍の溶接残留応力に関して，X線残留応力計測機により，応力集中部近傍の残留応力を明らかとするとともに，残留応力を変えた試験体の計測により試験体寸法の影響などについて明らかとした．今後は，結晶粒の影響などを反映する半価幅に基づき，溶接部周辺組織の解析を進める．
３）素材疲労強度を加味した疲労強度向上効果の解明に向けて，提案したSBHS700の疲労限を加味したピーニング処理部の疲労強度評価を行い，本提案疲労限を用いて評価法の高度化を進めた．今後は，SBHS700の疲労試験結果に加えて，鋼材種類の差異を含む溶接部周辺のき裂発生位置を素材部とした疲労試験結果に対して，本評価手法の適用性を検討する．
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| Strategy for Future Research Activity |
今後の研究については，本研究で実施する各検討項目について，以下のように進める．
１）素材疲労強度に及ぼす切欠き感度の影響に対して，切り欠き感度を検討可能な試験体の製作と疲労試験を実施する．
２）応力集中部近傍の溶接残留応力に関して，X線残留応力計測機により，鋼材強度などを変えたピーニング処理された応力集中部近傍の残留応力の計測を，特に，結晶粒の影響などを反映する半価幅に基づき，溶接部周辺組織の解析を進める．
３）素材疲労強度を加味した疲労強度向上効果の解明に向けて，高強度鋼を用いた疲労試験体の製作と疲労試験の実施に結果に加えて，大型試験体の製作なども進める．
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