2018 Fiscal Year Research-status Report
道路橋RC床版における水の侵入に起因した耐疲労性の低下を抑制する床版断面の提案
Project/Area Number |
17K06540
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
子田 康弘 日本大学, 工学部, 准教授 (40328696)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 耐疲労性 / 押抜きせん断破壊 / 単鉄筋断面 / 複鉄筋断面 / 湛水状態 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では既往の耐疲労性低下の要因に関する知見を踏まえ配筋やコンクリートの仕様を検討し,定点載荷による押抜き疲労載荷試験を実施することで,水が浸入による耐疲労性の低下を抑制するRC床版断面の検討を行ったものである.供試体は,供試体形状として長さと幅が800mm,高さと100mmとし,主鉄筋と配力筋にはそれぞれSD295AD10とSD295AD6を使用した版状供試体とした.また,載荷面は湛水状態とし水の浸入を受ける状態の載荷試験とした. 本実験より,静的載荷試験の結果から最大荷重は,単鉄筋供試体が103.0kNであり,複鉄筋供試体が109.8kNと押抜きせん断耐力は複鉄筋の方が大きいと考えたが,両者には大きな差は認められず同程度の最大荷重と判断された.疲労載荷試験の結果より,中央たわみと載荷回数から疲労破壊回数は,従来型断面の単鉄筋供試体が25500回,複鉄筋供試体が13000回と複鉄筋断面の疲労破壊回数が単鉄筋断面の約1/2と明らかに耐疲労性が劣る結果を得た.これに対して,炭素繊維グリッドを設置した供試体の疲労破壊回数は,単鉄筋供試体が40700回であり,複鉄筋供試体が25780回と単鉄筋断面の方が複鉄筋断面の約1.6倍に疲労破壊回数が増加した.また,従来型断面と比較からは,炭素繊維グリッドの設置によって,複鉄筋断面の場合は約2倍,単鉄筋断面の場合は約1.6倍に疲労破壊回数が増加した.以上の4条件より,単鉄筋断面で炭素繊維グリッド有りの単鉄筋断面が複鉄筋断面よりも耐疲労性が向上することを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度は,6種類のRC断面を考案し,疲労載荷試験を実施したものである.申請時に想定した通りに,複鉄筋断面よりも単鉄筋断面において耐疲労性が向上し,またこれに炭素繊維グリッドによるせん断補強することで耐疲労性のさらなる向上を確認することができた.この成果は,これまでのコンクリート工学分野においても未知の成果といえ,次年度の検討によって検証を行う.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は,最終年度であり,従来断面のRC床版の走行回数が水の侵入と劣化によって減少するものが,考案断面によって従来断面と同等か上回るかを明示する.加えて,疲労回数の増加過程における損傷状態も詳細に整理し,たわみの急増といった破壊段階にあるRC床版の損傷の程度やひび割れ状況を評価する予定である.
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Causes of Carryover |
当初想定した旅費の予算執行が別件のために少なかったためと,供試体作製における実施計画時においてゲージ類の埋込箇所を絞ったため,計測のための消耗品予算の執行が少なかったことによる. 今年度は,輪荷重走行試験用の供試体を作製するための材料費に予算を使う予定である.
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Research Products
(1 results)