2018 Fiscal Year Research-status Report
構造物の燃焼解析と精緻な風況解析を連成した市街地火災解析法の構築
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17K06541
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
長谷部 寛 日本大学, 理工学部, 准教授 (60366565)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野村 卓史 日本大学, 理工学部, 教授 (50126281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アイソジオメトリック解析 / NURBS / ハイブリッド並列解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,当初,放射解析と飛び火を考慮した燃焼解析法を構築する計画であった。しかしこれまでの研究過程で,これらの解析法を構築する上で,事前に従来よりも高精度な数値解析法を導入する必要があると考えられたこと,アイソジオメトリック解析の提案者である Thomas J.R. Hughes 教授から直接指導を受ける機会が得られたことから,当初は平成31年度に実施予定であったアイソジオメトリック解析に基づく風況解析法の構築を先行して行った。 研究代表者らがこれまで構築した解析法は,線形の基底関数にもとづく有限要素解析法であったが,この基底関数を CAD の形状表現に用いられる NURBS (Non Uniform Rational B-Splines) に変更した。また,CAD の形状データを直接的に扱えるように,CAD ソフト Rhinoceros のアドオンツール Grasshopper を活用し,CAD 上で風況解析の境界条件が設定できる解析補助ツールを構築した。 さらに,時間積分法をクランク・ニコルソン法から,より安定かつ高精度な一般化α法に変更するとともに,平成32年度に計画している大規模解析に対応できるよう,OpenMP と MPI の通信アルゴリズムを併用したハイブリッド並列解析法を導入した。東京大学スーパーコンピューターシステム上で大規模なハイブリッド並列解析が実施可能であることを確認している。 以上のように,平成30年度は大規模な市街地の風況解析を想定したアイソジオメトリック風況解析法を構築した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の平成30年度の研究計画(放射解析および飛び火を考慮した燃焼解析法の構築)と平成31年度の計画(アイソジオメトリック解析に基づく風況解析法の構築)は,それぞれを並列的に実施し,平成32年度を迎える時点で統合することを考えていたため,実施年度を入れ替えたとしても,研究全体に支障は来さない。 当初の平成31年度の研究計画であるアイソジオメトリック解析にもとづく風況解析法の構築は,前述の研究実績で述べたように,従来の有限要素解析法をベースに新しく構築することができた。したがって,研究の進捗状況は順調と言える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は,当初平成30年度に計画していた放射解析および飛び火を考慮した燃焼解析法の構築に取り組む。 平成29年度の時点で,運搬が可能でかつ簡易的な燃焼実験装置を構築したが,これは当初計画していなかった内容であり,それに時間を要してしまったため,放射解析の検証に必要なデータが十分に取得できていない。そのため,放射解析法の構築とともに,解析結果の検証に資するデータを自ら取得する実験を,当初の計画に追加して実施する。 放射解析法に関しては,平成29年度に基礎的な検討(無風時に燃焼物体から放出される放射伝熱量の解析)を実施しており,その際に用いた放射伝熱モデルを,アイソジオメトリック風況解析法に実装し,有風時の放射解析を実施する。 飛び火の影響は,前述の放射熱を測定する実験の動画を記録し,飛び火の挙動および影響を把握した上で,解析法にその影響を組み込む方策を模索する。現状では,風況解析自体の負荷が高いことから,飛び火を解析中で Euler 的に扱う方法を考えている。
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Research Products
(2 results)