2018 Fiscal Year Research-status Report
近代木橋の経年による構造剛性の実態評価に基づく耐用年数の推定法開発
Project/Area Number |
17K06543
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
本田 秀行 金沢工業大学, 工学部, 教授 (00110990)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 近代木橋 / 経年 / 構造剛性 / 耐用年数 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、近代木橋の架設および修繕工事等の実績に関する各要因別によるデータを定量的に分析した。さらに、近代木橋に対する健全度調査を実施し、経年による劣化や定量的な健全度評価法および構造剛性の検討を行なった。 ①架設後18年が経過した「おおさる橋」(木製中路アーチ橋:群馬県)の健全度調査と動的調査を実施した。健全度調査では目視点検を実施した。その結果、アーチ部材等の主構造で経年による顕著な劣化は見られなかったが、腐朽菌の繁殖、ひび割れ、変色等の劣化が散見された。また、振動実験で得られた基本固有振動数に対する逆解析でヤング係数の尺度によって構造剛性の減少率を検討した結果、18年の経過によって「おおさる橋」の構造剛性の減少率は約25%低下していることが確認された。 ②架設後18年が経過した「金峰2000年橋」(木製上路アーチ橋:鹿児島県)の動的調査を実施した。動的調査で得られた基本固有振動数に対する逆解析でヤング係数の尺度によって構造剛性の減少率を検討した結果、18年の経過によって「金峰2000年橋」の構造剛性の減少率は約10%低下していることが確認された。目視点検では経年による劣化がほとんど見られなく、動的調査の結果を含めて、本橋の経年による健全度は高い状況であると判断される。 ③これらの調査で得た結果は、近代木橋の経年による構造剛性の実態を把握するための重要な基礎データになる。また、28年度や29年度で検討された基礎データを追加して、橋梁全体に対する鉛直の等価曲げ剛性を構造剛性と定義して、近代木橋の経年による実施的な劣化曲線の推定式を検討した。さらに、その劣化曲線と耐用年数の関係を検討し、経過年数時での残存年数を推定する方法の検討が可能となり、耐用年数の計算式を開発するための方向付けが可能になった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
近代木橋に対する耐用年数の推定式を開発するためには、経年による構造剛性の実態把握が必要になる。その検討には経年による構造剛性の実態に関する基礎データが必要になる。平成30年度に行った調査成果として、18年が経過した「おおさる橋」に対する構造剛性の低下が約25%、18年が経過した「金峰2000年橋」に対する構造剛性の低下が約は10%の重要なデータが得られた。さらに、近代木橋のより合理的な耐用年数の推定式も検討した。そして、実施的な経年による近代木橋の劣化曲線である構造剛性と新たな開発した耐用年数との関係を検討し、経過年数時での残存年数を推定する方法を検討する状況にある。次年度ではこれらのデータを分析すると共に、経年が異なる近代木橋の構造剛性の低減率に関するデータの集積を行なう。
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Strategy for Future Research Activity |
先ず、平成30年度の研究目的で収集した基礎データや分析内容を整理・精査する。そして、それらの成果を平成31年度の研究目的で実施する研究内容に統合化する。それらの成果に基づいて、本研究課題である近代木橋の経年による構造剛性の実態把握に基づく耐用年数の推定式の開発を行なう。
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