Development of a Vessel for Triaxial Compression Test of Rock under Ultra-low Temperatures

2017 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K06551
• Research Institution: Iwate University
• Principal Investigator: 鴨志田 直人 岩手大学, 理工学部, 助教 (00400177)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 凍結岩石 / 極低温下 / 三軸圧力室 / 開発 / 破壊包絡線 / 強度定数

Outline of Annual Research Achievements

極低温液化燃料の岩盤内貯蔵方式の設計・施工で実施される空洞周辺岩盤の熱応力解析では，水や氷が内在する岩盤の破壊包絡線または強度定数（粘着力・内部摩擦角）を把握する必要がある。しかし，国内・国外を問わず極低温下（-196℃程度）までの温度範囲における破壊包絡線または強度定数を報告した例は見当たらない。そこで本研究課題では，極低温環境下でも実験可能な岩石用三軸圧縮試験装置の開発を行い，さらに，-170℃における飽和含水岩石の三軸圧縮試験を実施し，凍結岩石の破壊包絡線・強度定数の温度依存性を検討することを目的とする。
本研究の実施計画は，(1)岩石用極低温三軸圧力室の設計・製作，(2)岩石用極低温三軸試験装置の実証試験，(3)極低温環境下における飽和含水岩石の三軸圧縮試験の3項目から成る。平成29年度は（1)について実施した。
岩石用極低温三軸圧縮室設計に当り検討すべき技術課題としては，最大セル圧20MPa，最低試験温度－170℃に耐えうる，圧力発生装置と液体圧力媒体，シール材の選定が挙げられる。まず始めに，これらの課題ついて検討した。その結果，圧力発生装置にはピストンシリンダー型を新たに設計することとし，液体圧力媒体には工業用・船舶用の高級潤滑油（動粘度4.373(mm2/s)@40℃，密度0.8117(g/cm3)@15℃，固化圧力3.70(GPa)）を用いることにした。また，往復運動用シール材には高温用膨脹黒鉛モールドパッキンと高温高圧バルブ用のアダプターパッキン（共に，使用温度範囲-240～400℃，使用最高圧力43MPa）の2種類を，固定用シール材にはテフロン製Oリングが使用可能であることを明らかとした。
次に，以上で得られた圧力発生装置とシール材をもとに，岩石用極低温三軸圧力室の詳細設計を終えることができた。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

平成29年度は，(1)岩石用極低温三軸圧力室の設計・製作までを計画していた。しかしながら，高静水圧極低温下（20MPa，－170℃）での使用に耐えうる液体圧力媒体，パッキン・ガスケットの選定と，岩石用極低温三軸圧力室の詳細設計に時間が掛かってしまい，三軸圧力室の製作に入ることができていない。したがって，本研究課題の達成度は遅れていると判断した。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題は(1)から(3)の3項目から成る。
平成30年度（次年度）は，まず始めに，今年度実施できなかった(1)岩石用極低温三軸圧力室の設計・製作に関して，三軸圧力室の製作を行う。次に，(2)岩石用極低温三軸圧縮試験装置の実証試験に関して，本研究課題で新たに開発する岩石用極低温三軸圧縮試験装置の実証試験を行う計画である。具体的には，まず始めに，極低温下でも性能を維持可能な供試体被覆材の選定を行う必要がある。次に，実際の岩石を用いて極低温下（－170℃）における三軸圧縮試験を行い，実用化に向けての問題点を検証し，岩石用極低温三軸圧縮試験装置に改良を加える。
平成31年度（最終年度）では，(3)極低温環境下における飽和含水岩石の三軸圧縮試験に関して，極低温環境下における飽和含水岩石の三軸圧縮試験を実施し，－170℃における飽和含水岩石の破壊包絡線・強度定数（粘着力・内部摩擦角）の温度依存性を明らかにする計画である。具体的には，本研究課題では新たに開発する岩石用極低温三軸圧縮試験装置を用いて－170℃における岩石の非圧密非排水三軸圧縮試験を行い，岩石の破壊包絡線（強度定数）を求める。さらに，本研究で得られるモールの応力円と研究代表者が過去に実施した直接一面せん断試験より得られたクーロンの破壊基準（鴨志田ら，Journal of MMIJ, 2015）とを比較検討し，－170℃における飽和含水岩石の破壊包絡線・強度定数（粘着力・内部摩擦角）の温度依存性を明らかにする。

Causes of Carryover

新規開発する極低温三軸圧縮室（最大セル圧20MPa，最低試験温度－170℃）の製作で必要となる部品の材料費を物品費として，その加工費（製作依頼料金）をその他として支出を計画していたが，研究課題の進捗が遅れており，それらの項目に関しては支出できていない。さらに，液体圧力媒体に採用する工業用・船舶用の高級潤滑油の価格が当初の計画より高価であったため，実際の購入時には当初の予算を超過することが懸念されたので，旅費の支出を一部取りやめた。
次年度では，昨年度実施できなかった極低温三軸圧縮室（最大セル圧20MPa，最低試験温度－170℃）の製作で必要となる部品の材料費と加工費（製作依頼料金）と，液体圧力媒体の購入を計画している。