2019 Fiscal Year Research-status Report
土粒子の三次元配列と間隙径分布に着目した砂質系不飽和地盤の強度推定手法の開発
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17K06561
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
森 友宏 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (40552394)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土倉 泰 前橋工科大学, 工学部, 教授 (40236899)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 不飽和土 / 間隙径分布 / サクション / メニスカス水 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度までの研究では,土粒子球の間に食い込むように形成されるメニスカス水の形状を考慮することで,等粒径における4つの土粒子球間に働くサクションの大小を定性的に求めた。令和元年度の研究では,実際の土にさらに近づけるべく,粒径の異なる5種類の球を土粒子に見立てた。最密充填状態の土粒子球の間に形成されるメニスカス水の形状を3D-CADを用いて分析することで,飽和度とメニスカス水の形状との関係を定量的に求め,飽和度54.66%~76.92%の範囲における飽和度とサクションとの関係を明らかにした。その結果,飽和度が減少する時,毛管張力は増加する一方で,表面張力が減少することが示されたが,毛管張力の増加分の方が表面張力の減少分よりも大きいため,結果として飽和度の現象によりサクションが大きくなるということが明らかになった。また,飽和度が54.66%~76.92%まで変化してもサクションの変化は約3%となった。これは,不飽和土の水分特性曲線において,中飽和度域でサクション変化が小さいことと符合する結果である。 一方,土粒子の配列が最密充填状態であることはまず皆無であるため,本知見を実際の土の不飽和土に応用するためには,非最密充填状態の土粒子の配列を考える必要がある。令和元年度は,ボロノイ分割を用いて土粒子球の配列を設定し,配意数を考慮するための手法・手順を整理・構築した。提案した手法の妥当性を確かめるために,ガラスビーズを用いた最大・最小密度試験を行い,得られた間隙比を比較したところ,提案した手法により得られる間隙比が妥当であることが示された。しかし,粒子の配意数を考慮するためには,粒子に対する壁面の干渉が無視できるほど多数の粒子に関してボロノイ分割を行う必要性があることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度の研究では,粒径の異なる5種類の土粒子球の組合せに関して,飽和度とサクションの関係を定量的に示すことができた。5種類の土粒子球の最小径と最大径の比は16であり,これは,通常「砂」とされる粒径の範囲をほぼ包含するものであることから,本研究による知見は,砂質土に関する不飽和土の強度特性を解明するために有益なものであると考えられる。 一方,土粒子配列の不均質性も考慮して研究を進めていることから,将来的な発展性も期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度は,理論的に求められた異粒径土粒子球の組合せによるサクションの推定量が,実際の供試体(珪砂,ガラスビーズ)による飽和度に応じた強度変化と,どの程度符合するかを確かめていく。この際,実際の供試体は非最密充填状態であることを考慮して,結果の分析を行う。 本年度は研究の最終年度にあたるため,成果として,土の粒径分布(ふるい分け試験結果)から,生成される地盤の間隙径の分布およびサクション量の推定を行い,対象とする土の飽和度に応じた不飽和強度を順的に推測できる手法の整理を進めていく。
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Causes of Carryover |
令和2年3月に学会発表を予定していたが,コロナウイルスの感染拡大防止のため,学会発表が中止となったため,急遽,旅費の余剰が発生したため。 繰り越した予算は,令和2年度に実験用資材費として使用する予定。
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