2017 Fiscal Year Research-status Report
グローバルな水環境を考慮した陸圏と沿岸圏をつなぐ新たな水環境インデックスの提案
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17K06579
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
石塚 正秀 香川大学, 創造工学部, 准教授 (50324992)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水ストレス / 水環境リスク / 河川水質 / 沿岸水質 / 栄養塩 |
Outline of Annual Research Achievements |
都市流域内人口密度(北村ら, 2017)を用いて都市の水資源量PWA(per capita annual water availability)を算定した。その結果、東京やロンドンでは、都市単位で算出した水ストレス度が国単位で算出した水ストレス度と比べて、高くなる結果が得られた。 Inter Sectoral Impact Model Intercomparison Project2 Phase a(ISIMIP2a)におけるバイアス補正済の過去(1950-2004)と将来(2006-2099)の日降水量データを用いた.過去に起こった渇水と各都市での年降水量の関係から,都市毎に大規模な渇水が発生するリスクがある渇水条件を示すことができた.また,対象都市のなかで,渇水頻度が増加し,渇水のリスクが過去に比べ増えると考えられる都市は,東京都新宿区におけるHadGEMでのRCP6.0のシナリオのみであることがわかった.また,使用するモデル毎でも結果の違いが生じ,温暖化レベル毎に渇水のリスクは比例していないということも分かった. 流出解析を行う際に、水災害・リスクマネジメント国際センター(ICHARM)が開発した総合洪水解析システムIFAS(Integrated Flood Analysis System)を用いた。雨量データの補正にはJAXAの補正プログラム”GSMaP Customization IF”(GSMaP-IF、UNESCO/ICA/JAXA)を用いた。その結果、GSMaP-IF(ver.2)による補正が最も精度が高い結果が得られた。また、IFASを用いた流出解析では、規模の大きなチャオプラヤ川上流域において衛星雨量の補正の効果がみられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
都市流域の算定を試みた結果、インドなどでは、地形データの精度が悪く、作成した都市流域の算定の自動処理プログラムがうまく動かずに、解析が進まなかった。また、IFASに入力する衛星雨量データGSMaPの補正プログラムの実行に予想以上に時間を要してしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
グローバルの河川水質データ(GEMS/water)を収集・整理する。陸圏と沿岸域圏との関係を調べるためには、とくに、NPの溶存態・懸濁態などの形態別の水質特性、および河川毎のNP比の相違を明らかにする。栄養塩については、富栄養化に関して検討をこない、陸圏と沿岸域圏との関連性の評価に用いるデータとしても整理を行う。また、飲料水の飲用可能性(保健・衛生)を評価するためには、重金属成分を整理する。有機汚濁については、長期的なデータが計測されている場合が多いと考えられるため、富栄養化との関係性や潜在的な水質汚濁の可能性について評価を行う。なお、日本における河川・湖沼の水質データは、国土交通省の水文水質データベースおよび環境省の公共用水域データを用いて、水質データの精度チェックを行う。精度の低いデータや年数の少ないデータが多い場合は、対象流域を限定するなどして、各大陸の代表都市(流域)についてのデータ整理を行い、研究目的が達成できるようにする。
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Causes of Carryover |
地形データの取り込みによる自動解析処理プログラムによる都市流域の算定が、地形データの精度の問題によりうまく動かなかったため、ハードウエアとソフトの購入を行うことができなかった。今年度にデータの処理方法や地形データについて、改善策を検討し、予定通りの予算執行を進める予定である。
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Research Products
(4 results)