2019 Fiscal Year Research-status Report
Global satellite mapping of wet surface and diversified monitoring of hydrological changes
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17K06582
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
瀬戸 心太 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50533618)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 洪水 / 氾濫 / マイクロ波放射計 / 地表水 / 降水 |
Outline of Annual Research Achievements |
全球地表水マップ(GSMaWS)日本版の作成について、昨年度開発した手法を改良した。マイクロ波放射計の楕円のフットプリントについて、上昇・下降軌道と位置による傾きを考慮し、さらにアンテナパターンを考慮した。マップ作成におけるGISでの作業を最小限にして、できるだけ自動化・高速化した。岡山県小田川流域から、西日本域(東経129-136°、北緯31-36°)に範囲を広げて、氾濫有無の判定を行った。西日本豪雨時において、小田川以外に、肱川、筑後川、由良川などでの氾濫を検出することに成功した。一方で、大阪や福岡などの都市域で常に氾濫しているように判定されており、都市域の一時的な雨水の表面貯留などを考慮する必要があると考察した。空間解像度1.5秒(約50m)の冠水確率マップについて、岡山県周辺(東経133-134°、北緯34-35°)で作成した。小田川流域での冠水確率時系列をみると、2018年7月7日に0.5を超えており、前後数日を除いて、通常は0.2未満であり、氾濫のシグナルを適切にとらえている。一方で、降水中には、冠水確率の推定値が低くなることがあり、マイクロ波の放射伝達の観点から再検討が必要である。高解像度の冠水確率マップを、日本全国に拡張するため、土地利用データや浸水想定区域図のデジタルデータを整備した。また、検証用のデータとして、JAXAと東京大学による全球リアルタイムシミュレーションToday's Earthの日本版(空間解像度1分)のデータが今年度後半に公開されたため、入手し、予備的な解析を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、氾濫判定と高解像度冠水確率マップの作成手法を改良・一部自動化し、2018年の西日本域における氾濫判定と岡山県周辺の高解像度冠水確率マップを作成した。日本域全体への適用と検証は未完了であるが、必要なデータの入手・整備は済んでおり、今年度までの研究は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度は、日本域全域で高解像度の冠水確率マップを作成する。大規模な氾濫災害の発生した2015,2018,2019年度を優先して作成する。シミュレーションデータとの比較・検証においては、河川水・水田・氾濫水を区別して行う。検証結果をみて、必要に応じて、マップ作成手法の改良を行う。また、冠水確率マップを日本以外でも作成するため、土地利用図や想定氾濫区域図の代替データについて検討し、日本以外の一部地域での冠水確率マップを試作する。
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Causes of Carryover |
本研究で開発したGSMaWSの検証に最適なデータ(Today's Earth Japan)が2019年12月に公開されたため、研究目的をより精緻に達成するため、期間を1年間延長することになった。それにともない、解析に伴う諸費用や発表のための費用などを繰り越し、次年度に使用する計画とした。
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