2017 Fiscal Year Research-status Report
干潟域の干出・冠水が駆動する流れ-底質間相互作用の解明と干潟環境の時空間変動予測
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17K06584
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
齋田 倫範 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80432863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 干潟 / 沿岸環境 / 潮汐 / 潮流 / 潮間帯 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,干出・冠水を生じる水域における海水流動特性の把握を目的として,博多湾西側に位置する今津干潟に注ぐ江ノ口川での現地観測を中心に研究を推進した。現地観測を行った江ノ口川河道は,川幅約30mであり,平常時の流量が小さく,干潮時には極めて小規模な澪筋を除いて干出する。観測期間は,2017年11月18日~11月19日(大潮)の2潮汐間であり,潮差は約1.3mである。現地観測では,超音波ドップラー流向流速計の係留による流向流速分布測定,圧式波高計による波高測定,濁度計による濁度測定を中心に実施した。また,前述の観測期間を含む2017年11月3日~2018年1月3日に河道内の4地点で水位計による潮位観測を行った。その結果,上げ潮時,下げ潮時に,主流方向の流速が大きくなる潮汐周期の流速変動が卓越していることが観測された一方で,満潮付近に周期約50分の水面変動,およびそれに応じた流速変動が確認された。この水面変動については,今津干潟における現象の影響を受けていると推察されるため,引き続き検討が必要である。さらに,流速の鉛直分布の対数則への適合状況を確認したところ,上げ潮時の底層付近では対数則とのよい一致が見られた。一方で,下げ潮時には,水深がおおよそ0.6m以下となる時間帯に対数則から大きく外れる特徴的な流速分布が確認された。観測時には河口側から河道に沿って平均2.3m/s(最大6.8m/s)の風が吹いており,吹送流の影響も考えられるが,特徴的な流速分布の発生要因は特定するには至らなかった。この点については,引き続き実測データを取得するとともに,数値計算を併用した検討が必要と考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測データの充実化が課題ではあるが,現地観測体制の確立,観測データの取得と観測における問題点の整理,および数値モデルの整備を推進できていることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に良好な気象条件下でのデータ取得ができなかったことから,平成30年度も引き続き観測データの蓄積を図る。さらに,観測された現象に関する検討に数値計算を併用することが好ましいことから,数値モデルの整備・改良も平行して推進する計画である。
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Causes of Carryover |
残額が少額であったことから,次年度の消耗品購入費の一部に充てることとした。
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