2018 Fiscal Year Research-status Report
干潟域の干出・冠水が駆動する流れ-底質間相互作用の解明と干潟環境の時空間変動予測
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17K06584
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
齋田 倫範 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80432863)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 干潟 / 沿岸環境 / 潮汐 / 潮流 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は,平成29年度に引き続いて,干出・冠水を生じる水域における海水流動特性の把握を目的とし,博多湾西部に位置する今津干潟に注ぐ江ノ口川における水位観測を中心に研究を推進した。観測では,2018年9月13日~10月13日に,浜崎今津漁港および江ノ口川河道内の5地点に水位計を設置し,水位の連続観測を行った。観測された水位データに対するスペクトル解析の結果から,潮汐成分以外に周期30~60分の水位変動が継続的に発生していることが確認された。加えて,観測対象海域の地形を考慮した数値計算を実施し,水位観測データに対する調和解析結果との比較を行った。M2潮,M4潮,MS4潮に着目して観測値と計算値を比べたところ,M2潮については河道の上流側ほど振幅が小さくなる傾向がみられ,数値計算において振幅は過小に,その減少率は過大に評価された。一方,M4潮やMS4潮の振幅は河口側から上流に向けて微増し,数値計算においては絶対値,減少率ともに過大評価となった。位相については,M2潮,M4潮,MS4潮のいずれの場合も河道の上流側ほど位相の遅れが生じることが確認された。数値計算において,MS4潮の位相の遅れは概ね再現されたものの,M2潮とM4潮の位相の遅れは過大に評価される結果となった。このことから,底面境界条件の設定方法や遡上フロントの力学機構に関する検討を進めるなど,数値計算における問題点を整理・改善する必要がある。また,前述の周期30~60分の水位変動が今津干潟内の物質輸送に与える影響についても評価が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測データの充実化が課題ではあるが,現地観測体制の確立,観測データの取得と観測における問題点の整理,および数値モデルの整備を推進できていることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度も引き続き観測データの蓄積を図る。さらに,数値計算を併用した現象の解明を推進するために,現地観測と平行して数値モデルの整備・改良を実施する計画である。
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