2019 Fiscal Year Research-status Report
干潟域の干出・冠水が駆動する流れ-底質間相互作用の解明と干潟環境の時空間変動予測
Project/Area Number |
17K06584
|
Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
齋田 倫範 鹿児島大学, 理工学域工学系, 准教授 (80432863)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | 干潟 / 潮間帯 / 潮汐 / 潮流 / 長周期波 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年度は,今津干潟における長周期水位変動と博多湾の湾水振動特性との関係を数値計算によって検討した。まず,長周期波の入射に対する今津干潟の応答を調べ,入射波周期が48分の場合に,干潟外に節を持つような共振によって干潟内での増幅率が最大となることが確認された。また,入射波周期が35~60分であれば,増幅率が2を越える共振が今津干潟で生じることを確認した。ただし,干潟域の微地形や冠水状態が固有周期に与える影響については,さらなる検討が必要である。次に,長周期波が外海から入射した場合の博多湾の応答を調べた。周期が約2時間を越える長周期波の入射に対しては,湾口部を節,湾奥部を腹とする1次モードの湾水振動が生じることが確認された。また,入射波周期が約60分の場合には,博多湾西部と湾奥部を腹,湾中央付近を節とする湾水振動を生じることが確認された。 令和元年度は,数値計算に加え,UAVに搭載の赤外線カメラによる温度の遠隔測定に関する基礎的な検討を行った。鹿児島県日置市吹上町花熟里地先の吹上浜において,2019年8月29日と9月11日に計6回の飛行を行い,可視カメラによる画像と熱画像を撮影した。同時に,水温計の係留による表層水温の測定,および気温と湿度の測定を行った。標準的な補正の後,熱画像による温度(以下,熱画像温度)と水温計による水温(以下,水温)を比較しところ,熱画像温度が水温より4℃~10℃低い値を示した。そこで,経験式から得られる晴天時の天空背景放射輝度と等価な放射を与える黒体の温度を用い,海面で反射される空からの放射の影響の補正を試みた。その結果,熱画像温度と水温との関係に改善が見られた。しかし,数℃程度の温度差を測り分けるには至っておらず,観察対象の空間的な温度変化と温度斑を分離する手法の確立が必要である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
底質に関する観測データの充実化が課題ではあるが,現地観測体制の確立,観測データの取得と観測における問題点の整理,および数値モデルの整備を推進できていることから,おおむね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和2年度も引き続き観測データの蓄積を図る。特に,UAVを活用した遠隔測定手法の確立に関する検討を行う。さらに,数値計算を併用した現象の解明を推進するために,現地観測と平行して数値モデルの整備・改良を実施する計画である。
|
Research Products
(2 results)