2017 Fiscal Year Research-status Report
The effects of local flow in a porous media fixed in waves on energy dissipation and mass transfer
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17K06586
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
中條 壮大 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (20590871)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻本 剛三 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (10155377)
重松 孝昌 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (80206086)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 多孔質体 / 長周期波 / PTV |
Outline of Annual Research Achievements |
透過性構造物などの多孔質体には長周期波の減衰機能が期待されている.本研究では長周期波作用下でのエネルギー減衰機構の知見を得る事を目的として水理実験と数値計算の両面から流動機構を明らかにする.初年度には,水槽実験により長周期波作用下での多孔質体模型を通過する流動の画像計測を行った.具体的には模型材料に透明シリコンを,流体にNaI水溶液を用いた屈折率整合法を用いたPIVによって波動の進行方向を含む鉛直断面内の流動を計測した.波浪条件は波高と周期,水深を変化させながら複数の断面で計測を行ったが,現段階では波浪1ケース,1断面の解析結果の整理に留まっており,順次解析中である.流動と乱流量の位相変化については国内の査読付き論文に投稿中であり,第一段階査読を通過している.また,数値解析モデルの構築については,多孔質体構成材の配列変化が流体力に及ぼす影響について菅水路条件で検討している.さらに自由水面を有する流れについて気液二流体解析により高精度に解く手法を開発している.この成果については国内の口頭発表4件と国内の査読付き論文2件にて公表済みである.また本研究で対象としている長周期波浪についての関連研究を国内の口頭発表1件,国内の査読付き論文1件,国際会議発表1件にて公表済みである.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多孔質体模型を直径2cmのシリコン球を接着し作成した.作動流体はヨウ化ナトリウム水溶液とし,水槽下面よりレーザーをシート状に照射して照らされたトレーサーの運動を高速度カメラで撮影し断面2 次元計測を行った.模型天端高さは水深よりも高く,通水断面が多孔質体で満たされる非没水条件とした.超音波式変位計により沖側の水位変化を計測し,与えた波浪条件を確認した.時系列解析には逆距離荷重法を用いて推定した補間流速の情報を用いた.また乱れ成分の算定に際しては,移動平均操作から定義される平均流成分との差を乱れとして定義した. 間隙部を含む多孔質体近傍の流動について約12 周期分の連続データを取得した.瞬時の流動を分析すると,間隙部,特に水底付近においても外部と同オーダーの流速が計測された.また間隙部では高周波の変動が大きいが入射波周期と同じ周期で変動しており,定点の流速変動スペクトルからもそれが明らかとなった.各周波数帯のエネルギーは間隙部で減少し,水平成分よりも鉛直成分でその差が大きくなった.多孔質体通過後の岸側では水平成分のエネルギーは回復するものの,鉛直成分は減少しており,多孔質体通過に伴う波浪エネルギー減衰との関係が示唆された.間隙部平均値の時間変動から,乱れ成分にも周期的な変動があり,水平方向成分が岸・沖向きともに最大流速を示した後の減速位相時に乱れが大きくなる傾向にある.各方向の乱れ強度はほぼ同じ値で変化し,それらは高い相関を示した.間隙部平均の速度勾配は乱れエネルギーと良い一致を示し,それらは高い相関を示した.間隙部の水平方向平均値の変化から,水平方向速度成分は鉛直方向にほぼ同程度であるのに対して,乱れ量は水底に近づくほど顕著になることが示された.以上のような結果を得て,当初計画では初年度は計測方法の構築が主眼であったため,その目的は十分に達成されたと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に計測方法の確立は達成されたので,同様に波浪条件の異なるケースで実験を行い,波浪特性と間隙部流動との関係を明らかにしていく.加えて,現段階では鉛直断面内の流動について検討しているが,水平断面内の流動に位相のずれが観察されるという研究報告もあるため,その詳細を本研究手法から明らかにしていく.また,現在進めている数値モデルの開発において自由水面計算の導入に進展が見られたので,波動場の計算に応用して精度検証とそれを用いた三次元流動の解析から,進捗状況報告で述べたような特性が観察されるか,実験結果との整合性を検証していく.検証は,非線形波動理論との比較,開水路内に設置された円柱周り流れ,斜面上の砕波現象などを対象として行い,これらの検証を経て,多孔質体を通過する長周期波によって誘起される流動の実験結果と比較・検証する.現在のところ,実験及び数値解析を各1名の修士学生が担当しており,研究体制も整い始めている.
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Causes of Carryover |
科研費交付前年に学内の競争的資金を獲得することができたために,水槽の整備などに必要な予算を縮減することができた.その分の余剰については次年度の実験で必要なヨウ化ナトリウム等の材料費として使用する予定である.
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