2017 Fiscal Year Research-status Report
小さな拠点での大きな循環を意図した過疎地域型インフラ整備戦略とその評価手法の開発
Project/Area Number |
17K06601
|
Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
土屋 哲 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (70422623)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤尾 聡史 同志社大学, 理工学部, 准教授 (30448196)
長曽我部 まどか 鳥取大学, 工学研究科, 助教 (50757268)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 木質バイオマス / 地域経済分析 / 小地域産業連関表 / 巡回サービス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は以下の内容を実施した。 1.小地域産業連関表を用いた木質バイオマスによる熱電供給の地域経済効果推計(プロトタイプの作成) 本サブテーマでは、まず、地域経済分析のデータとして、i)鳥取県日南町、ii)鳥取県西部という2つのスケールの小地域産業連関表を推計した。次に、小型蒸気タービン(500kW)による発電を想定し、現在域外から購入している電力を代替する、もしくは売電による地域経済効果を推計した。その結果、ベースケースで設定したシナリオの下では20億円規模の経済波及効果があることが明らかとなった。その一方で、バイオマス発電事業部門単体で見た場合、原料である木材の取得費用、特に搬送費用の上昇によっては粗付加価値部門が負値となり、事業としての成立が困難になりうることも示唆された。 2.巡回サービス主体による集約的サービス供給方策の検討 本サブテーマでは、既往研究のレビューを中心的に行い、次年度の研究推進方策を検討するとともに、検討範囲を地域コミュニティレベルで展開するコミュニティビジネスに拡張することとした。集約的サービス供給方策に関しては、地域を巡回するサービス業者へのヒアリングを実施し、過疎地域を対象に他業種との連携で現在動き出しているサービス形態の構想について情報および資料を収集した。同サービス業者には、今後の協力への同意を得ることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
応募申請書・交付申請書に記載した内容(平成29年度の研究計画)をおおむね実施できており、上のような判定とした。なお、当初予定していたエネルギー需要量の推計については検討途上であったが、森のエネルギー研究所による報告書(H29.2)に全て掲載されているため、実施しないこととした。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は以下の研究を予定している。 1.将来シナリオを考慮した木質バイオマスによる熱電供給の地域経済効果推計 昨年度作成したプロトタイプをベースに、将来評価を行える枠組みに拡張する。具体的には、産業連関表を中心に、将来時点の社会経済統計を推計する。その際、上下水道や廃棄物処理など他の公共サービスとの集約をシナリオとして設計する点に力を入れたい。 2.小さな拠点を単位とするサービスモデル・ビジネスモデルに関する研究 分析対象地域をいくつかに絞った上で、本研究で念頭におくサービス主体を特定し、当該業者の日常的な業務時間・場所・内容や空き時間を明らかにし、本業に付随して福祉サービス等を集約的に担う際にどのくらいの余力があるのかを把握するための基礎データとする。また、昨年度の課題に取り組む中で新たに芽生えたテーマとして、資源の「カスケード利用」を質的側面からとらえ、数理計画問題としてモデル化することを検討する。
|
Research Products
(9 results)