2018 Fiscal Year Research-status Report
Promoting hazard map use through nudge
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17K06603
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
藤見 俊夫 熊本大学, くまもと水循環・減災研究教育センター, 准教授 (40423024)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナッジ / 行動経済学 / 情報回避 / ハザードマップ / 水害 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,「水害ハザードマップが手元に用意できる人」は除外し,水害ハザードマップを見ない・持っていない人を対象に,どのようなナッジ政策を行えば状況が改善するかについてWebアンケート調査を実施した。その結果を分析するにあたり、各ナッジ政策の効果を,浸水エリア,浸水深,浸水頻度,避難場所のそれぞれの回答に分け,自己表明基準・内容理解基準をそれぞれ比較し検証する.自己表明基準とはナッジ介入のあとに「自宅周辺のハザードマップを見た」と回答したかどうか、内容理解基準は回答者の自宅のハザードマップ内容に関するクイズを出し、それに正答したかどうかの基準である。 今回の検証で,ランダム比較試験に基づき情報提示,閲覧手間の簡素化のナッジ介入の効果について明らかになったものがあった.普段からハザードマップを所有している人が余りにも少なく,特に,情報提示のナッジ介入は介入なし,閲覧手間の簡素化は入手手順の説明がそれぞれ一番閲覧率向上に効果があるという結果となったため,こういったアンケート調査などのハザードマップに触れる機会を作ること自体が閲覧率向上に効果があるのだということがわかった.今後,3月11日に実施したアンケート調査により得た結果から,多くの人が災害のことを普段より意識するときのナッジ介入の効果を分析する.そして,それぞれの介入の結果がどのような個人属性や行動要因を持つ者に対して効果的であったか,また,そこからハザードマップの閲覧を阻害する要因を明らかにしていく必要があると考える.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハザードマップの閲覧を促すナッジ介入の効果を検証するために、回答者がナッジ介入後にハザードマップを本当に見たか確認する必要がある。そのために、回答者の自宅のハザードマップについていくつかのクイズを出し、それが正答であるかどうかで判定することにした。これを内容理解基準と呼ぶ。この判定方法は、回答者の住所から該当するハザードマップを入手し、それを回答者のクイズの回答と照らし合わせて正誤を判定するという莫大な作業が必要となる。現在までで、その作業が一通り終わったため、単純集計によるハザードマップ閲覧促進に関するナッジ介入の効果の検証まで進み、おおむね順調に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ハザードマップのナッジ介入のうち、3月11日の防災の日のタイミングでWeb調査を実施することでハザードマップ閲覧が促進されるかを検証するための調査結果について、内容理解基準による判定が行えていないので、それらを実施することが残された課題の一つである。
それが終了すれば、ハザードマップ閲覧を阻害する要因の検証は、ナッジ介入効果に影響を及ぼす要因の検討を回帰分析に基づいて実施することで、ハザードマップを見たいと思っていてもハザードマップが閲覧されない心理的メカニズムとそれを軽減、克服するための政策的含意を丁寧に検証することを目指す。
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Causes of Carryover |
3度目の検討しているWebアンケート調査の実施を1年遅らせたため。
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Research Products
(9 results)