2017 Fiscal Year Research-status Report
地方都市における公共交通利用者の利用頻度変化モデルの構築
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17K06605
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Research Institution | Kochi University of Technology |
Principal Investigator |
西内 裕晶 高知工科大学, システム工学群, 講師 (40548096)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩見 康博 立命館大学, 理工学部, 准教授 (40422993)
力石 真 広島大学, その他の研究科, その他 (90585845)
日下部 貴彦 東京大学, 空間情報科学研究センター, 講師 (80604610)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ICカードデータ / 公共交通利用者 / 利用間隔 / 包絡分析法 / 路線効率性評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は,1)公共交通利用者の利用間隔の変化に関する分析,2)包絡分析法によるバス路線評価について研究を遂行した. 1)公共交通利用者の利用間隔の変化に関する分析については,高知市都市圏における公共交通利用者の利用日の間隔を,当該地域で利用されるICカード「ですか」の1年分の利用履歴を活用して分析した.具体的には,各公共交通利用者の利用間隔の日々のパターンを集計し,その変化にどのような特性があるのかを把握するものである.分析では,各日の利用の有無について,データ上に出現した全ての利用者について集計し,そのパターンをクラスター分析にて分類し,特性を整理した.その結果,何らかの理由で公共交通の利用を止める利用者のうち,徐々に利用を減らしている利用者層もあることがわかった. 2)包絡分析法によるバス路線評価について研究については,高知県におけるとさでん交通のバス路線について,ICカードデータを用いて包絡分析法(DEA)によるバス路線評価を試みた。具体的には,合計18系統の各路線をDEAの意思決定主体として,今後の公共交通利用を促進すべきと考える非定期利用者の行動をICカードデータから判別し,それらの移動効率性の観点から運行効率性を評価したものである.分析の結果により,提案した指標ごとにDEAから算出されるD効率値の傾向をバス路線ごとに定量的に把握し,ICカードデータのバス路線評価への活用可能性を考察することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1)公共交通利用者の利用間隔の変化に関する分析については,利用者の公共交通利用特性について分析は進んだものの,公共交通の利用を止める行動の定義までは分析結果から導き出せていないのが現状である.生存時間分析を用いた交通行動モデル構築においては,公共交通の利用を止めるという現象を定義する必要があるため,引き続き,交通行動特性を把握していく必要がある. 2)包絡分析法によるバス路線評価について研究については,包絡分析法によるモデルを構築する際に,入力と出力を定義する必要があるが,これらの変数に事業者が施策としてコントロール可能な変数の導入までには至っていないため,引き続き,事業者と連携しながら,データの整理と指標の決定を進める必要がある. また,ICカードデータについても,公共交通事業者との連携によりより長期間のデータを分析することが可能となったため,上記の2つの研究で活用していく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
1)公共交通利用者の利用間隔の変化に関する分析については,生存時間分析の適用による交通行動モデルを構築し,どのような利用者が公共交通の利用を止めるかを把握する.また,新たなICカードデータは,8年分の観測期間であるため,公共交通事業者が取り組んできた各種施策に対する公共交通利用者の利用特性の変化についても考察可能なモデルの構築を目指す. 2)包絡分析法によるバス路線評価について研究については,既存の研究で定義されている運行効率性指標を参考にしたバス路線網評価に加え,ICカードデータから得られる利用者の行動特性を加味した効率性指標の検討を進める.また,効率性の時系列分析を進めることで,各種施策が運行効率性に及ぼした影響についても考察し,今後の公共交通事業者がとるべき施策を検討する.
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Causes of Carryover |
平成30年度に,公共交通に関する類似のデータ分析を進めている海外の研究者とのディスカッションや国際会議への参加を計画したため,平成29年度での次年度使用額を変更し,前述の会合への参加に使用することとした.
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