2017 Fiscal Year Research-status Report
突発的な遅延・欠航発生時の航空旅客の対応行動を考慮した損失便益推計手法の構築
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17K06607
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
高田 和幸 東京電機大学, 理工学部, 教授 (30282867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
屋井 鉄雄 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (10182289)
平田 輝満 茨城大学, 工学部, 准教授 (80450766)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 航空 / 突発的フライトキャンセル / アンケート調査 / 対応行動 / 交通行動モデル / 意思決定モデル / 機会損失 / 支払い意志額 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)大韓航空機エンジン火災事故発生後の対応の整理:前年度,関係主体(大手航空会社2社,空港管理者)に行なったヒアリング調査に基づき,事故発生後の対応行動を時系列で整理した. (2)既往研究レビュー:交通サービス途絶時の旅客の対応行動に関する既往研究について整理し,また機会損失の経済価値の評価に関する既往研究を収集した. (3)旅客の対応行動の特性分析:大韓航空機エンジン火災事故により移動に制約を受けた方々を被験者として実施したアンケート調査のデータを用いて,事故後の対応行動を分類した.その結果,新幹線が航空機の代替機能を果たしていたこと,関東と北海道・四国・九州とを結ぶ路線の旅客の多くが,当日中の移動を諦めていたこと,さらに旅行自体も中止する旅客が多くいたことが明らかとなった. (4)突発的フライトキャンセルの発生に備え,本調査用のアンケート調査票(基本形)を作成した. (5)2018 年 1 月 22 日から23 日未明にかけて降った大雪により,成田・羽田空港を中心に国内線 400 便以上が欠航し,また成田空港では約 10,000 人が空港で一夜を明かすという出来事が発生した.本研究の調査事象と捉え,2月22日~2月24日にインターネット調査を実施し,計515サンプルの標本を収集した. (6)新たに収集したデータを用いて対応行動の特性分析が進められるよう,周辺情報(代替交通手段のサービス水準など)の整備を行なっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に予定していた調査や分析(ヒアリング結果の整理,関連研究のレビュー,調査票の設計)については概ね進めることができた.特に,いつ生じるか予見できない突発的フライトキャンセルが,1月に大雪という形で発生し,移動の制約を受けた旅行者を対象にしたアンケート調査が実施できたことで,本研究を遂行する上での貴重なデータを収集することができた. 一方,突発的フライトキャンセルが生じた際の,旅行代理店や宿泊施設の対応については,未だヒアリング調査が実施できていない.
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Strategy for Future Research Activity |
突発的フライトキャンセルが発生した際の旅客の対応行動に関するデータを,プレ調査(平成28年5月大韓航空機エンジン火災事故)を含めて2回の事象について収集することができた.今後は,これらのデータを用いて,旅客の対応行動の特性分析(旅行実施/キャンセルの選択要因の特定,移動手段の選択要因の特定,旅行延期・中止の選択要因の特定 )を通じて,対応行動の数理モデルの構築を進める予定である. また旅行に係わる関係主体へのヒアリングを積極的に行ない,突発的フライトキャンセル発生時に移動を制約された旅客への対応方法に関する意向と,その可能性についてヒアリングを通じて整理する予定である.
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Causes of Carryover |
突発的フライトキャンセルの発生と,その規模は,不確実の下での出来事であるため,調査の規模(収集サンプル数,調査項目)を事前に確定することは困難である.平成29年度の調査は,515サンプルと比較的小サンプルであったため,予定したよりも少額の支出となった.
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Research Products
(2 results)