2017 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の健康寿命を考慮した安全・安心なモビリティの実現に向けた分析と政策研究
Project/Area Number |
17K06612
|
Research Institution | Toyota Transportation Research Institute |
Principal Investigator |
安藤 良輔 (宿良) 公益財団法人豊田都市交通研究所, その他部局等, 主幹研究員 (70251121)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 高齢運転者 / 効果分析 / 生活の質(QOL) / 社会制度 / 先進運転支援システム(ADAS) / アンチエイジング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高齢者の自動車運転による正の効果をしっかり調査して、評価すると同時に、高齢者運転による負の効果もきちんと分析して、高齢者の属性、低下した能力に応じた支援システムの提案、そして、そのシステムを実社会において活用できる制度設計を検討することを目的としている。 本年度の研究成果は下記のようにまとめられる。 1.自動車運転による高齢者への正の効果:既存研究で得たデータによる詳細分析から、自動車運転が生活の質(QOL)の向上に貢献していることを再確認できたと同時に、運転日数の多い高齢者が感じる運転負担も小さいことが分かって、自動車運転とアンチエイジングとは因果関係まで証明できなかったが、相関関係があることを示した。 2.高齢者運転の負の効果:加齢によって高齢運転者の能力低下を既存研究成果のレビューに基づいて整理した上、最も深刻に考えるべき負の効果である交通事故を念頭に、高齢運転者を対象とした運転免許更新時に行った高齢者講習により得たデータを活用した分析を行った。それによると、老化と運転特性の関係性は、一時停止のある交差点で課題等が生じることが分かった。 3.既存する運転支援システムの可能性に関する分析:事故車両データ情報を基にした分析で、先進運転支援システム(以下、ADAS)搭載車は他車より大きく事故率が低下し、特に高齢者が第一当事者となる事故率が低下していた。被害軽減ブレーキはメーカ間で性能に比較的差が生じており、少なくとも近年市場に投入されている軽自動車のADASの性能は総じて低い可能性が高いという課題があるが、自動ブレーキとペダル踏み間違い加速制御装置は直接/間接的に能力を補完し、交通事故リスクを軽減できると期待される。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたモニター調査から、研究のアプローチを変更して既存するデータの詳細分析を中心に本年度の研究内容として進めてきた。実施した内容について、段階的に成果をまとめて発表することもできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は、本研究の狙いである高齢者の安全・安心なモビリティの実現に向けた分析および政策研究に邁進していく。
|
Causes of Carryover |
本年度に予定していたモニター調査を見直して、既存研究成果の整理や既に入手済みのデータによる解析を中心とした研究内容で進めた上、外部発表については、招待講演等を受けて実施しているため、結果的に少ない予算で見直した研究計画に沿った研究を実施することできた。その分、次年度により濃い研究内容で研究を推進することができる。 次年度では、本年度の成果を踏まえて、当初計画よりも範囲をこれまで予定していた高齢者(人)から、車や道路にも拡大して、「人・車・道路」の三位一体に拡大して、高齢運転者の課題の解決に必要となる研究内容について実施すべく、そのため、研究予算額を有効に活かして、道路を対象としたAI技法の応用、および人を対象とした調査を進めていき、社会に役に立つ成果を打ち出していく。
|
Research Products
(7 results)