2019 Fiscal Year Annual Research Report
Fate of clinically important antibiotic-resistant bacteria and genes in water and wastewater systems
Project/Area Number |
17K06622
|
Research Institution | Tokyo University of Technology |
Principal Investigator |
浦瀬 太郎 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (60272366)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松井 徹 東京工科大学, 応用生物学部, 教授 (90372812)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 抗生物質耐性 / 大腸菌 / 腸内細菌 / 下水処理 / 河川環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度には,ケーススタディーとして,神奈川県内の河川をフィールドに環境水中の薬剤耐性のひろがりを調べた。2000年ごろからの20年での耐性菌存在割合や耐性スペクトルの変化を明らかにするため,過去の調査と互換性のある試験方法を工夫し,また,菌種を大腸菌に限定して解析した。フィールド調査の結果,畜産に由来する大腸菌が多いと推定される河川では,耐性率がこの20年間で減少していた。養鶏における抗生物質使用の適正化などの効果が考えられた。一方,下水処理水を多く流水に含む河川では,その大腸菌個体群における古典的な抗生物質(アンピシリン,テトラサイクリン等)に対する耐性が20年間で減少していた一方で,第1~第3世代のセファロスポリン薬など比較的新しい抗生物質に対する耐性は,やや増加していた。一方,下水処理水中のカルバペネム耐性腸内細菌科細菌の調査として,昨年の検討時点からの問題であるStenotrophomonas maltophiliaによる測定妨害を避けるため,42℃培養法を引き続き検討した。42℃培養法で得られる環境水中のカルバペネム耐性腸内細菌の菌種は,Klebsiella属,Enterobacter属,Escherichia/Shigella属であり,属レベルでは臨床分離株と検出割合の傾向が一致していたが,種レベルでは若干の乖離が見られた。下水道では情報収集の難しい感染症が一部存在する可能性が示された。 都市水環境や下水道における感染症モニタリングでは,病院での調査や検査と異なり,健常者と感染者を合わせた都市の平均的な感染状況に関する情報を得ることができる。研究期間全体を通して,薬剤耐性の広がりを例として,水環境モニタリングの有効性や適用の限界についての事例を多く収集することができた。
|
Research Products
(6 results)