2017 Fiscal Year Research-status Report
Optimization of microplastic treatment flowing into waste water treatment plant
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17K06628
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Research Institution | 大阪市立環境科学研究センター |
Principal Investigator |
中尾 賢志 大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究員 (00649014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝元 慶子 大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 課長 (20332447)
尾崎 麻子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主任研究員 (80332435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / SEM / 顕微FT-IR / 反射法 / ATR法 / FT-IR / 下水処理場 / 収支図 |
Outline of Annual Research Achievements |
予備実験として,以前採取していた下水汚泥分離液から20μmメッシュの篩を用いてマイクロプラスチック様物体を捕捉し,SEM(走査型電子顕微鏡)で観察した。元素分析の結果,炭素を中心とした組成ということは分かったが,プラスチックであるという確証はSEMによる観察では得ることができなかった。 次に,研究分担者が所属する(地独)大阪健康安全基盤研究所の森ノ宮センターに設置されている「顕微FT-IR」でマイクロプラスチックのなかでもより微小なマイクロプラスチック(数10~100μmレベル)の同定を試みたが,結果的にはできなかった。この理由としては,反射法という方法では,顕微鏡で得られる画像からプラスチックであるというスペクトルを得るにはノイズが多すぎたことが挙げられる。また,別の方法であるATR法では,試料をプリズムに密着させる必要があり,数10~100μmレベルのマイクロプラスチックを密着させるのは技術的に難しかった。 本研究成果から本研究対象であるマイクロプラスチックの大きさは100μm以上のものに限定せざるを得ないことが分かった。それ未満のものについては,今後の顕微FT-IRの性能向上および様々な技術革新を待たざるを得ない。 今後の研究展開として,新たに下水処理場の処理工程で得た試料を過酸化水素で処理し,90μmメッシュの篩(100μmメッシュの標準篩は市販されていない)を用いてマイクロプラスチックの検出を行う予定である。経験的に300μm以上のマイクロプラスチックであれば,比較的容易にFT-IRで同定可能であるが,本研究においてはそれよりも小さなマイクロプラスチックの検出を試みる。 平成30年度は,下水・下水汚泥処理各工程のマイクロプラスチック濃度を確定し,各処理工程の水量や汚泥量を乗じて下水処理場におけるマイクロプラスチックの収支図を作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
「やや遅れている」という理由として,研究代表者が平成29年9月末から12月末まで体調不良で自宅療養を余儀なくされ,9月にサンプリング予定であった下水・下水汚泥処理各工程の試料を得ることができなかったことが挙げられる。結果的に,3月にサンプリングを行うことができたが,相手先(下水処理場管理者)との調整に非常に手間取り,平成29年度末でのサンプリングになり,研究の進捗が遅れた。 ただ,3月にサンプリングした下水・下水汚泥各処理工程の試料のSS分析は3月中に終わらせることができ,当該処理場の固形物収支の基礎データを得ることができた。 本年度の研究成果および上記理由を勘案し,自己点検による評価は「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は下水処理場におけるマイクロプラスチックの収支を明らかにし,その挙動を解析する。対象マイクロプラスチックの大きさは90μm以上とする。これらのマイクロプラスチックの検出が難しいのであれば,経験上比較的容易に検出できる300μm以上のマイクロプラスチックを対象とすることに変更する。 平成31年度は上記のマイクロプラスチックの挙動解析の結果,どの工程でマイクロプラスチックの除去率を向上させれば効果的であるかの検証をおこない,室内実験でマイクロプラスチック除去の方法を検討する。 上記2年間で本研究の核である部分は終了するが,1年目である平成29年度の研究進捗がやや遅れたため,研究期間の1年の延長も視野にいれて丁寧な研究をおこない,外部発表に努める所存である。
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Causes of Carryover |
当初予定していた顕微鏡より高性能なものを購入することとし,前倒し支払請求をした。しかし想定していた金額より安価に購入することができたので,残金が生じた。残金は,次年度配分額と合算して,フォトレタッチソフトやペンタブレット,グラフ作成ソフトの購入に使用する予定である。
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