2019 Fiscal Year Research-status Report
Optimization of microplastic treatment flowing into waste water treatment plant
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17K06628
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Research Institution | 大阪市立環境科学研究センター |
Principal Investigator |
中尾 賢志 大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究員 (00649014)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桝元 慶子 大阪市立環境科学研究センター, その他部局等, 研究員 (20332447)
尾崎 麻子 地方独立行政法人 大阪健康安全基盤研究所, 衛生化学部, 主幹研究員 (80332435)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | マイクロプラスチック / 下水処理系内 / 下水汚泥処理系内 / 収支解析 / 返流水 / 除去率 / 微細化 / 顕微FTIR |
Outline of Annual Research Achievements |
下水処理系内における20μm以上のマイクロプラスチック(以下,MPs)の検出を行い,収支解析をおこなった。 流入下水は20~49μmのサイズが最も多く,急速ろ過設備流出水(放流水)は50~99μmのサイズが最も多く検出された。また,前者は450μm未満までのサイズのMPsが検出されたが,後者は200μmのものまでしか検出されなかった。また,MPsの平均サイズは急速ろ過設備流出水の方が小さかった(流入下水88μm,急速ろ過設備流出水66μm)。 流入下水中の20μm以上のMPs濃度は約93個/L,最初沈殿池流入水は約110個/L,反応タンク流入水は約44個/L,最終沈殿池流出水は約7.5個/L,急速ろ過設備流出水(放流水)は約4.5個/Lとなった。そのうち200μm以上のMPs濃度はそれぞれ,約9.3個/L,約22個/L,約3.2個/L,約0.69個/L,0個/Lとなった。 20~200μmのMPsの除去率は最初沈殿池で64.8%,反応タンク+最終沈殿池で83.1%,急速ろ過設備で38.9%であり,全体での除去率は94.1%であった。200μm以上のMPs除去率はそれぞれ85.9%,78.0%,100%,100%となった。昨年度の200μm以上のMPs除去率はそれぞれ83.8%,97.5%,58.9%,99.5%となり,各水処理工程での除去率は,検出対象MPsが200μm以上から20~200μmになることで低下する傾向がみられた。三次処理設備である急速ろ過設備での除去率低下は,MPsが微細になることによりろ材に捕捉されにくくなることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学との共同研究になったことにより,当該大学に設置されている顕微FTIRを本件研究で使用できるようになった。これにより,20μm以上のマイクロプラスチックの検出が可能になり,また,比較的検出に係る労力が低減されることとなった。これにより,現在国際的な検出下限サイズである数十μmのマイクロプラスチックの下水処理場内での動態が把握できるようになった。 よって,当該年度では200μm以上のマイクロプラスチックの下水汚泥処理系内での動態解析をおこなう予定であったが,変更して20μm以上のマイクロプラスチックの下水処理系内および下水汚泥処理系内での収支解析をおこなうことにした。このため,当初は3年の予定であった本研究を1年延長して,下水および下水汚泥系内,つまり下水処理場全体の20μm以上のマイクロプラスチックの収支解析をおこなうこととした。 上記の研究方針の変更により,全ての試料の再度の前処理および大学でのマイクロプラスチック分析が必要となった。特に20μm以上のマイクロプラスチックを対象とした試料の前処理では試料量を少なくしなくてはならないためか,過酸化水素との反応時間が200μm以上のマイクロプラスチックを対象とした前処理よりも非常に長くなった。また,顕微FTIRは大学に設置されているため,試料の運搬や分析方法の調整に手間取り,前処理や分析に時間がかかっている状況である。また,新型コロナウイルス蔓延による大学の閉鎖(2020年5月現在)により,大学おいて自由にマイクロプラスチックの分析ができる状況ではなく,顕微FTIRによる分析に支障が出ている。当該大学の閉鎖が解除されれば,すぐに顕微FTIRによる分析を行い,収支解析をおこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き顕微FTIRによる20μm以上のマイクロプラスチックの分析をおこない,下水処理および下水汚泥処理系内におけるマイクロプラスチックの収支解析をおこなう。これにより,どの工程でどのようなマイクロプラスチック除去の対策をおこなえば最も効率的で効果的な対策を立てられるかが明らかとなる。 これまでの研究成果により,汚泥濃縮工程におけるマイクロプラスチックの汚泥への移行が不十分で,返流水に移行していることが明らかとなったので,汚泥濃縮工程でどのような対策をおこなうかを定量的に明らかにする予定である。具体的には実際の濃縮汚泥に無機凝集剤を添加してどの程度無機凝集剤を添加すれば最も効率的で効果的なマイクロプラスチック除去率になるかを把握する。実験は机上実験でおこなう。 また,マイクロプラスチックのサイズは10μm以上,100μm以上,1mm以上と分級し,それぞれのサイズで除去率が異なるかということも把握する予定であるが,顕微FTIRによる分析に時間がかかるようであれば,20μm以上のマイクロプラスチックに限定し,濃縮工程におけるマイクロプラスチックの除去率を把握する。 新型コロナウイルス蔓延の長期化により,「濃縮工程でのマイクロプラスチックの除去率向上」実験において,数十μm以上のマイクロプラスチックの検出ができなければ比較的検出しやすい300μm以上のマイクロプラスチックの検出で評価をおこなう予定である。
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Causes of Carryover |
研究の進捗が遅れているため,海外ジャーナル投稿のための英文後閲費を支出できなかった。よって,次年度に持ち越した。次年度持ち越し分は共同研究者が所属する大学への交通費および英文後閲に使用する予定である。
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Research Products
(8 results)