2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of timber elements and joint-systems for higher seismic and fire resistance performance using eco-friendly materials
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17K06651
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
谷口 与史也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (30254387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
Sanjay PAREEK 日本大学, 工学部, 准教授 (20287593)
荒木 慶一 名古屋大学, 環境学研究科, 教授 (50324653)
鈴木 裕介 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 講師 (90635400)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 木質部材 / バサルト繊維シート / ジオポリマー / 曲げ強度 / 曲げ剛性 / 耐震 / 耐火 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、以下の2課題について検討した。 (1)無補強の杉材(E70)に対し1.5~2.0倍程度の曲げ強度を目標としたバサルト繊維シート積層補強木質部材の曲げ性能について実験から比較検討した。並びに、積層補強することによって懸念されるシートの接着性能低下を抑制する目的として、シート貼付け面に適当な溝を設けその溝内でシート補強し接着剤を充填させることを計画し、補強面における溝の有無がシートの接着性と部材の構造特性に及ぼす影響について検討比較した。その結果、次の知見を得た。補強部材の曲げ強度は、概ね設計通りの性能を発揮した。溝が無い場合でも積層補強したことによる接着性能の低下は見られずシート完全接着想定の計算強度と概ね同等であった。これに対し、溝を設け溝内に補強した試験体は、想定と反し溝部が断面欠損になったことが影響し、溝無し試験体の強度を15-30%程度下回る結果となった。補強部材の曲げ剛性は、無補強の杉材に対し最大で20%程度向上した部材もあったものの、当初の想定ほどの効果は得られなかったため、今後更なる検討が必要である。 (2)ジオポリマーで被覆したバサルト繊維シート補強杉材の試験片を製作し、被覆層の厚さと繊維シート貼付け層数(層数に応じたエポキシ系接着剤の塗布量)を変数として、発熱性試験(ISO5660に準拠)から、各試験片の耐火性能について比較検討した。その結果、シート貼付け無し(接着剤の塗布無し)の試験片は、規定試験時間20分で総発熱量・発熱速度ともほとんど上昇せず不燃材料と判定されたため、ジオポリマーが耐火性能に極めて優れることを確認した。繊維シートを貼付けた供試体に関しては,貼付け層数が増すにつれ、有機系であるエポキシ系接着剤の影響による、総発熱量と発熱速度の増加量及びそれらに伴う耐火性能劣化に定量的な検討を加えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主課題は、高耐震・高耐火木質部材の開発である。これに対し、高耐震の検討については、バサルト繊維シート補強による杉材の高強度及び(未だ課題はあるが)高剛性の効果が得られ、部材終局状態の力学モデルの検討にも及んでいる。高耐火の検討について、耐火被覆層として用いるジオポリマーの被覆厚さなどを変動因子とした燃焼性試験から本構法による耐火性能に関するデータ収集を行い、定量的な検討を行うに至っている。よって、以上のように自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの知見を整理し、本研究範囲内において最適な高耐震・高耐火木質コンポジット部材を試作する。並びに、骨組構造を対象として当開発部材が適用可能な接合工法について試案・試作する。
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Causes of Carryover |
実験に用いた杉材を当初の想定より廉価で入手できたため。
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Research Products
(2 results)