2017 Fiscal Year Research-status Report
間隙水圧の変動を考慮した直接基礎構造物の液状化被害予測手法の提案
Project/Area Number |
17K06654
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
鈴木 比呂子 千葉工業大学, 創造工学部, 准教授 (60401527)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 液状化 / 直接基礎構造物 / 過剰間隙水圧 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、下記を行った。 1)1983年日本海中部地震において、液状化による被害を受けた住宅の事例の収集、整理を行った。液状化による住宅被害には、非液状化層厚、液状化層厚、液状化層の地盤剛性、構造物重量等が影響を及ぼすと考えられる。被害事例より、各パラメータの影響を確認するためのパターンの抽出を行った。 2)1)で抽出したパターンについて、住宅を模擬した直接基礎構造物の縮尺模型を作成し、1G場での振動台実験を実施した。実験では、非液状化層厚、液状化層厚、液状化地盤の剛性、構造物重量をパラメータとした。実験結果より、各パラメータの構造物被害への寄与度を整理した。さらに、既往の液状化被害予測手法を用いて構造物沈下量を算出し、実験結果との比較を行った。 3)既往の遠心載荷装置を用いた振動台実験結果に基づき、過剰間隙水圧上昇予測手法の検討を行った。実験で計測された地盤の加速度記録を用い、地盤のせん断応力を推定し、加振による繰り返し回数(等価繰り返し回数)を算出し、さらに等価繰り返し回数から過剰間隙水圧比を算出した。算出した過剰間隙水圧比は、実験値より著しく小さくなる傾向が見られた。そこで、等価線形解析を用いて、地盤の加速度記録を推定し、その値から等価繰り返し回数、過剰間隙水圧比を算出した。算出した過剰間隙水圧比は急激に上昇し、実験結果とは整合しなかった。そこで、地盤物性から推定される初期剛性の値を5割程度低下させ、地盤の加速度を推定し、過剰間隙水圧比を算出した。初期剛性を低下させて求めた過剰間隙水圧比は、実験結果と概ね整合し、実験における液状化に至るタイミングを予測できる可能性を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた、液状化被害事例の収集、被害要因の整理、重力場における縮尺模型実験、過剰間隙水圧上昇予測手法確立のための検討を実施することができた。概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の成果をもとに、重力場、遠心場における振動台実験を実施する。遠心場の実験は、外部の施設を利用するため、重力場で数多くの実験を実施した後、ケースを絞って遠心場での実験を行う。また、過剰間隙水圧上昇予測手法は、実大実験の結果を用いた検証を引き続き行う。
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Causes of Carryover |
(理由) 本予算を使用しての出張(学会における情報収集)を予定していたが、大学での業務との調整がつかず実施しなかったため、次年度繰越額が生じた。 (使用計画) 小額であるため、繰り越し分を単独で使用するのではなく、平成30年度の予算と合算して振動台実験に必要な物品を購入することで有効に活用する。
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