2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
17K06655
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
小澤 雄樹 芝浦工業大学, 建築学部, 教授 (50388120)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 木造住宅 / 耐震性能 / シェルター / 応答制御 / オイルダンパー |
Outline of Annual Research Achievements |
大地震時に倒壊の危険がある木造住宅は全国に未だ数百万戸存在すると言われている。近い将来に予測される大地震に対して、これら既存木造住宅の安全性を迅速に向上させていくことは、喫緊の社会的課題である。建物倒壊から人命を保護するための手段の一つとして耐震シェルターがある。本研究で提案する手法は、木造住宅をシェルターと連結することで、地震応答制御の手段として利用しようとするものである。 過去に行われた解析的検討によって、耐震性能の不足する既存木造住宅をシェルターと連結することで、既存部分の応答を低減可能であることが確認された。ただし、柔な既存住宅を高剛性のシェルターと連結することで、過剰な水平力がシェルター側に流入し、シェルター自身を損傷させる恐れもあるため、注意が必要である。 2020年度は3次元倒壊解析ソフトウェアWallstatを用いたより詳細な検討を行った。具体的には、前年度までは平屋(1階建て)のモデルを用いた検討を行ったが、2020年度はより実情に即したモデルとするために、2階建ての1階部分のみにシェルターを挿入した場合の検討を実施した。木造住宅は1階部分の剛性率が低く大地震時に1階で層崩壊する場合が多い。このような建物の1階部分にシェルターを挿入することで剛性率を改善し建物全体の安全性を高めることが出来る。ただし、1階の剛性を上げすぎると2階が層崩壊する危険性が高まるため、ダンパーを利用して1,2階の剛性バランスを適切に調整することが重要である。 また、現存する多くの木造住宅は平面内においても偏心している場合が多い。シェルターを挿入することで偏心を抑える効果が期待できることがシミュレーションにより明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響により、研究代表者や研究補助の大学院生等の大学研究室への入構が制限されるなど、研究遂行に大きな支障が出た。そのため、1年間の研究期間延長を申請した。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の影響により当初予定していた実験等の実施は困難になったが、検討方法を解析的研究に切り替えるなど、状況に即して研究計画を柔軟に変更していく。今年度は研究最終年度となるので、そのことも意識しながら成果を整理していく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初予定していた実験等の年度内実施が困難になり、研究計画及びスケジュールを見直したため。
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Research Products
(3 results)