2017 Fiscal Year Research-status Report
Effective Cleanup Method for Volcanic Ash on Roofs considering Building Strength and Property of Volcanic Ash Accumulation
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17K06664
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Research Institution | Miyakonojo National College of Technology |
Principal Investigator |
山本 剛 都城工業高等専門学校, 建築学科, 准教授 (20240103)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 火山灰 / 心拍数 / 主観的強度 / ボルグスケール / 除灰 / 地震応答 |
Outline of Annual Research Achievements |
地面および屋根に堆積させた火山灰をショベル作業により除灰する作業を実施し、除灰作業に要する運動強度を調べた。地面の除灰作業は1232×766×207 mmのプラスティック製の箱型容器を地面に固定して火山灰を充填し、ショベリングにより火山灰を切り出す作業で再現した。屋根の除灰作業は同サイズの箱型容器を勾配が4寸5分、屋根面サイズが1820×2530mmの屋根模型に埋め込みショベリングによる火山灰の切り出し作業で再現した。 地上に堆積させた火山灰の除灰時の運動強度を測定した結果、次のことが分かった。①除灰作業中の心拍数は80~120bpm内の20bpmの心拍幅に収まり、被験者の身体的特徴による違いが見られた。②Borgによる主観的強度(以下、RPE)は15~18であった。③最も疲労を感じる部位は腰または背中である場合が多く、全身の疲労度よりも部位の疲労度が強いケースがあった。 また、屋根の除灰作業から次のことが分かった。①最大心拍数は120~130bpmであり、地面に堆積させた火山灰の除灰作業時の最大心拍数の1.1~1.2倍であった。②RPEは15~19であった。③含水率18%の湿潤火山灰の除灰作業を行うと最大心拍数は乾燥火山灰の除灰時の2倍に達し、RPEは17~20になった。また火山灰の切り出し量は1.3~2.6倍になった。 除灰作業をスタートさせるタイミングを検討するために、火山灰が屋根に堆積した木造建物の地震応答計算を行い、火山灰の堆積厚さが耐震性能に及ぼす影響を調べた。入力地震波JMA Kobeに対しては火山灰の堆積重量が3kN/㎡に達すると層間変形角が1/15程度になった。この時の火山灰の堆積厚さは降灰荷重により木造住宅が倒壊する可能性のあるとされている堆積厚さよりも小さく、噴火活動中に発生する規模の大きな地震に対しては早期の除灰作業が必要になることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は屋根に火山灰を自然降下させる実験を行って屋根に降下する火山灰の堆積特性を観察により明らかにする予定であったが、夏季の天候不良により火山灰試料の乾燥作業が予定よりも大幅に遅れ、予定していた火山灰の降下実験は一部しか実施することができなかった。このため研究計画を変更して、平成30年度に実施する予定であった屋根に堆積した火山灰を人力で除去する際の作業強度の測定および平成31年度に予定していた降灰荷重に対する木造住宅の構造安全性の検討を行うことにした。屋根に堆積した火山灰の除灰の際の作業強度の測定は計画どおり実施し、十分な測定データを得ることができた。また、構造安全性の検討については鉛直荷重に対する検討から地震荷重と降灰荷重の複合荷重にまで拡張して検討することが出来、計画以上に進展した。以上のことから本研究課題は概ね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
実験のための十分な火山灰資料を確保するために2018年5月に噴火した霧島山の火山灰を採取し、天候が良好な時期に乾燥作業を行い火山灰試料を作製する。なお、天候不良が続く場合を想定して研究協力者の補助を得て室内乾燥により乾燥作業を行う体制でのぞむ。また、桜島から噴出した火山灰を定期的に入手するために、垂水市へ火山灰の提供を申し入れる。 火山灰の降下装置および降下方法については研究協力者であるカンタベリー大学Geological Sciences学部のThomas Wilson博士とのコンタクトを密にとり専門知識の提供を受け、火山灰降下装置を早期に完成させる。 屋根に堆積した火山灰の除灰作業に要する運動強度の測定については周辺の大学等と連携して十分な数の被検者数を得て実施する。 霧島ジオパークと連携し、平成31年に開催予定の防災シンポジウムの企画立案をスタートさせる。
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Causes of Carryover |
火山灰の堆積特性を調べるために実大サイズの屋根に火山灰を降下させる実験を実施する予定であったが、夏季の天候不良により火山灰の採取と火山灰の乾燥作業を計画通り実施することができなかった。このため屋根に火山灰を降下させる実験を年度内に完了させることができないことが明らかとなったので、平成29年度は縮小模型による棟部分の降下実験のみ実施し、残りは平成30年度に実施することにした。また、平成30年度に予定していた火山灰の除去作業に要する運動強度の測定および平成31年度に予定していた噴火時の建築物の耐力調査を実施することにした。これらの研究計画の変更に伴い、購入予定であった土質試験用ふるい、3Dセンサー、3D ソフトウェア等の測定装置および実大サイズ屋根模型と降灰装置の製作に必要な木材や屋根材の購入を平成30年度の購入に変更した。以上の理由で次年度使用額が発生した。 次年度使用額は平成29年度に予定していた屋根に降下する火山灰の堆積特性の解明に必要な実験装置と計測システムの開発ならびに屋根の製作使用する。平成30年度の助成金は研究計画どおりに使用する。
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