2019 Fiscal Year Annual Research Report
A study on evaluation of transmission quality of sound information in urban and architectural spaces focusing on ear Input signals
Project/Area Number |
17K06671
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
佐藤 逸人 神戸大学, 工学研究科, 准教授 (30346233)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 音声伝送品質 / 耳入力信号 / 聴覚モデル / ピッチ / 両耳聴 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,音情報の伝送品質を一般的な信号音と妨害音の強度比ではなく,人間が聴く音,つまり左右の耳に入力される音のみから評価する方法を研究することである。平成30年度までの研究で,雑音を付加した音声について,聴覚モデルに基づいて算出した音声の調波構造が連続的かつ推定した基本周波数がクリーン音声のものと一致している区間が占める割合(Continuous Index: CI)を評価指標とすれば,ある程度の精度で音情報の伝送品質を評価できることを確かめた。平成31年度は,このCIの算出方法の両耳聴モデルへの拡張を検討した。聴取者前方に左右対称に配置した2つのスピーカから音声とピンクノイズがそれぞれ再生される条件における耳入力信号を提案するモデルに入力してCIを求めた。音声とピンクノイズの到来方向がなす角(Δφ)が大きくなると音声了解度は上昇することが知られているが,CIについても同様の上昇傾向が見られた。しかし,Δφの増加に伴うCIの上昇量をSN比の上昇に換算した値(Binaural intelligibility level difference: BILD)を既往のデータと比較した結果,既往のデータのBILDはわずかなΔφの変化によって急激に上昇するのに対し,CIから求めたBILDの上昇はかなり緩やかであった。また,BILDの最大値についてもCIに基づく値は既往の値よりも4dB程度低かった。このような結果が得られた原因は,本研究で用いた聴覚モデルにおいて,両耳間レベル差の影響の考慮が不十分であること,人間の選択的注意による妨害音の抑制効果が考慮されていないことなどが考えられる。
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