2017 Fiscal Year Research-status Report
高発熱機器からの放射熱量と対流熱量の測定法とその割合に適した換気・空調方式
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17K06680
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
近藤 靖史 東京都市大学, 工学部, 教授 (20267339)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 放射熱 / 高発熱機器 / 測定方法 / 実験 / 数値解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
a. 高発熱機器からの放射熱・対流顕熱・対流潜熱の測定法の検討 平成29年度は、東京都市大学が所有する実験室内中央に高発熱機器として業務用のグリドル(鉄板焼き器)を設置し、グリドルから周囲物体表面への放射熱量を測定した。4.0m×4.0m×2.5mhの実験室に置換換気用給気口を2か所設け、排気フードを天井中央部に設ける。この実験室内に断熱材の壁を設け(以降、内壁と呼ぶ)、形態係数が容易に求められるように2.5m×2.5m×2.5mの単純な立方体の空間を作った。この内壁内側空間の表面には放射率が既知である黒体塗料を塗り、内壁の下部に0.1mの隙間を開け、この隙間から内壁内側空間に0.1m/s程度の低風速で給気することにより内壁内側空間を静穏な状態にし、グリドル上の熱上昇流に対する排気フードの捕集率を100%にする。この状態で、グリドルおよび内壁内側空間の表面温度を測定し、グリドルからの放射熱量を算出するためのデータを取得した。内壁内側空間の表面は約200点を熱電対により測定し、温度分布が大きいグリドル表面はサーモカメラにより測定した。 b. 高発熱機器からの放射熱の数値解析法の検討 形状が複雑な高発熱機器と床・壁・天井などの周囲物体との放射熱授受を計算するために必要となる形態係数をモンテルロ法により求める。高発熱機器や床・壁・天井の表面をメッシュ(表面要素)に区分し、適切なメッシュの大きさを検討した上で各メッシュ間の形態係数を求めた。さらに、複数回の相互反射を考慮した形態係数(吸収係数)を算出し、放射熱授受の詳細を検討する。 以上により高発熱機器からの放射熱量を測定し、測定方法の精度を検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した実験は全て実施でき、数値解析にまで進んだ。この結果、4種類の高温発熱機器については放射熱量の算定まで完了した。実験では十分な精度で熱収支が取れていることを確認し、放射熱量の算定結果にも矛盾がないと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
a. 高発熱機器の放熱特性に関する測定法と数値解析法の開発と検証 平成29年度の成果を基にして、測定結果に矛盾がないことをさらに確認する。高発熱機器の電力消費量、あるいはガス消費量が測定した放射熱量と対流熱量の和になっていることを検討する。許容される誤差はその数値の用途によって異なるため、先ずその許容値を検討した上で、平成29年度の測定結果が十分な精度であるかをさらに検討する。十分な精度での測定値ではないと判断された場合には測定法の改良を行う。 b. 他の高発熱機器への測定法と数値解析法の適用 平成29年度は高発熱機器の代表としてグリドル(鉄板焼き器)を対象とした。本研究で開発した測定法と数値解析手法をフライヤなどの他の高発熱機器に対して適用し、測定結果が十分な精度を有していることを確認する。精度が十分でない場合には測定法を見直すこととする。
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Causes of Carryover |
平成29年度の実験や数値解析は順調に進んでおり、予定通りの成果が得られた。さらに平成29年度は予定以上の実験を実施するように進めていたが、実験で使用していた機器の一部が故障した。この機器の修理を平成30年度の予算で行い、研究を進めたい。 なお、平成29年度は残額424,656円が発生した。これは効率的に実験や数値解析が進んだことと、前述のように平成30年度に測定器の一部を修理する必要があったため、支出を抑制し、その費用に充てるように調整したためである。
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