2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of adaptive model for thermal comfort and clarify the adaptive mechanism in office buildings
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17K06681
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | オフィスビル / フィールド調査 / 熱的快適性 / 快適温度 / 適応モデル / 行動的適応 / 心理的適応 / 生理的適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
住宅や学校・事務所などの多くの建物で暖房や冷房を,化石燃料(や核燃料)にできる限り頼らずに行なうことは,今後ますます重要になると考えられるが,そのためには,熱的快適性の基準を改めて考え直す必要があり,地域の屋外気候と室内気候とを関係付ける「熱的快適性の適応モデル」の重要性が増すと考えられる。 日本では建物に必要なエネルギーとそれによる化石燃料使用量の削減を目指し,日本のオフィスにおける快適温度は冬に20℃,夏に28℃と推奨されているが,この値には特に科学的な根拠がないと言われている。実際のオフィスで人々がどのように環境適応し熱的に快適に感じているかについて,フィールド研究を行う必要がある。本研究では関東地域のオフィスにおける温熱環境の実測と熱的主観申告調査を行い,執務者快適温度を明らかにし,適応モデルを検討している。 調査は東京と神奈川の16棟のオフィスビルで行った。調査期間は2017年8月~2019年11月で,2637件の回答が得られた。幾つかのオフィスの気温,相対湿度,グローブ温度,風速などを10分間隔で継続的に測定したところ,下記の結果が得られた。 1. オフィスの平均快適温度は冷暖房非使用時で24.8℃,暖房使用時モードで24.2℃,冷房使用時モードで26.1℃であり,差が小さい。快適範囲は20~30℃である。調査で最も多く回答されたのは「4.どちらでもない」と,執務者はオフィスの温度に満足しているが,快適温度とグローブ温度の相関関係から,外気温度に応じて快適温度を定めても,人は自ずと環境に適応するため,快適に感じることができ,エネルギー使用量を削減できる可能性がある。 2. 冷暖房非使用時における快適温度と外気温度の相関関係は高く,外気温度に応じて快適温度も変動する。そこで,外気温度からオフィスの快適温度を推定できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究のデータ収集とデータ入力が完了,データ分析と論文作成が順調に進んでいる。今までのデータを分析して日本建築学会関東支部に1編の論文、国際会議に5編の論文を発表し,日本建築学会大会に3編の論文を投稿している。国際会議で発表した論文はEnergy Procediaにも掲載されている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後,年間のデータ分析を行って,日本建築学会,空気調和衛生工学会,Windsor Conference、Building and Environmentなどに論文発表を行う予定である。また,他のデータベースとも総合比較を行い,日本のオフィスビルの適応モデルを提案すると同時にそのメカニズムを解明する。
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Causes of Carryover |
2018年度に被験者へ謝礼金,Humphreys教授やNicol教授への研究協力費(データ分析と論文校閲)が発生しなかったため,次年度に使用額が生じた。2018年度にデータ習得が完成したため,Humphreys教授とNicol教授への研究協力費の謝金を支払う予定である。
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