2017 Fiscal Year Research-status Report
会議室空間における体臭対策のためのマスキング効果の検証と設計用基礎資料の作成
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17K06685
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
竹村 明久 摂南大学, 理工学部, 講師 (70584689)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 臭気 / マスキング / 三点比較式臭袋法 / 主観評価 / 体臭 / 木材香 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、前年度に一例のみ把握できたマスキング臭気と体臭との混合比を拡張した検証と新たな体臭想定物質とマスキング臭気の効果測定を優先した。体臭想定物質には、混合比検討のためにメチルヘプテノンを、新規物質検討として2エチル1ヘキサノール、2ノナノン、デカナール、ノナン酸を採用した。マスキング臭気は、木曽ヒノキ精油とした。まず、メチルヘプテノンと木曽ヒノキの混合比を4段階設定して混合臭の臭気濃度測定を三点比較式臭袋法、すなわち嗅覚を用いて行った。体臭濃度が高いと体臭の濃度に近く、木材香濃度が高いと木材香の濃度に近い混合臭臭気濃度の傾向を明らかにした。中間の混合比の場合は、既往研究データと照らしても追加検討の余地が見られた。また、新規物質の臭気濃度測定も実施して、その測定値に基づいて体臭想定物質と木曽ヒノキ香の混合臭の主観評価実験を実施した。メチルヘプテノンと木曽ヒノキの混合比を4段階設定した混合臭の評価は、強さ、快・不快とも木材香濃度が低いと体臭の評価に近い一方で、木材香濃度が高いと木材香の評価に近い傾向にあった。しかし、許容の可否については、低濃度でも混合臭は受け入れられない人の割合(非容認率)が高い傾向にあり、印象の「親しみ」と「複雑さ」評価で木材香濃度が低い混合臭で「親しみにくい」、「複雑な」側の評価があったことと関連すると考えられた。すなわち、混合臭が体臭、木材香いずれでもない臭気として捉えられた可能性が示された。新規体臭物質との木材香混合臭評価については、快・不快評価は体臭に近い評価だった一方で、許容の可否はデカナール以外で構成臭気単独の評価よりも受け入れられない評価が多く、上記と同様の不快な混合臭になった可能性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に当初実施予定だった作業効率とマスキングによる混合臭の関係の検討は、混合臭の快・不快や印象評価の把握が必要と考えたために後回しとし、平成30年度に予定していた主観評価実験を優先し、それに伴って必要となる閾値測定に併せて、異なる混合比における混合臭の臭気濃度測定を実施した。その結果から、作業効率検討の基礎資料が整ったことから、平成30年度は後顧の憂いなく作業効率の検討に進むことができるため、結果的に当初の計画通りの進捗と考えてよいと判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度には、体臭と木材香の混合臭環境下での作業実験を実施して、マスキングによる作業効率への影響を検討する。平成29年度の主観評価実験で得られた印象や許容の可否における、混合臭が構成される臭気と異なる臭気と捉えられた可能性が、実作業に及ぼす影響を検討した上で、平成31年度のマスキング臭評価の一般化に向けた基礎資料整備の可能性検討につなげる。マスキングにおける混合臭評価のデータ不足の中で、貴重な知見の積み重ねになることが推定される。
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