2018 Fiscal Year Research-status Report
会議室空間における体臭対策のためのマスキング効果の検証と設計用基礎資料の作成
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17K06685
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
竹村 明久 摂南大学, 理工学部, 准教授 (70584689)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マスキング / 臭気 / 知的作業効率 / ストレス |
Outline of Annual Research Achievements |
人体への悪影響リスクが非常に低い臭気物質に対しては、マスキングによる感覚的な不快度軽減手法も省エネの観点から有効と考え、会議室の体臭を木材香でマスキングする状況を想定して、異なる混合比の臭気環境下での知的作業から、混合臭気が作業成績や作業に伴うストレスに及ぼす影響を明らかにすることを目的とした実験を実施した。具体的には、体臭想定物質としたDecanalとマスキング剤を想定した木曽ヒノキ精油を充満させた約12.5m3のPETフィルムブース内で15名の実験参加者に単語作成作業、加算作業、校正作業に従事させて、作業前後および作業間の心理評価と作業前後の唾液アミラーゼ値測定と作業成績及びミス率を指標に臭気の影響を確認した。臭気条件は、Decanalのみ条件および木曽ヒノキ精油のみ条件と、Decanalに木曽ヒノキ精油を左記と同じ量充満させた混合条件と木曽ヒノキを4倍多く混合した条件、そして臭気を充満させない条件の5条件とした。作業成績から、習熟に伴う作業経験回数を追うごとの成績向上の影響を相殺できる実験参加者間平均値に基づいて臭気条件間の比較を行ったところ、単語作成作業の回答数はDecanal条件が最も高く、木曽ヒノキ条件が最も低く、混合臭2条件は木曽ヒノキの混合比が高いほど回答数が低い傾向だった。加算作業では、臭気条件間の差異は見られなかった。校正作業では、Decanal条件と木曽ヒノキ条件が同程度で、木曽ヒノキの混合比が低い混合臭条件で最も高かった。また、この傾向はストレス指標とした唾液アミラーゼ値の作業前後比と非常に高い相関があった。これより、単語作成作業は環境臭気の影響を受けやすく、加算作業は受けにくい、そして校正作業は環境臭気の影響よりも作業にかかるストレスとの相関が非常に高いと推定された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、当初計画では平成29年度に実施予定だった内容について実施した。理由は、臭気と作業効率の関係が、臭気と心理評価と心理評価と作業効率の二者の関係に基づく可能性があって、予め混合臭気の心理評価について先に把握することが必要と考えたためである。それらを踏まえて今年度実施した研究成果は上述の通りで、マスキングが人に及ぼす影響について、また一段と理解が進み、基礎資料が整えられたと考えている。そのため、当初計画通り順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、これまでに一端がつかめたマスキングにおける臭気の組合せによる影響の多寡を基に、さらに対象を拡げて複数種の組合せと複数混合比の組合せについての臭気評価実験を行い、主に混合比をパラメータとした臭気評価傾向の基礎資料を整えるための分析を行う。最終的には、臭気の組合せによる不快度評価の予測が行えるような資料整備を目標に、最終年度としての研究成果まとめを行う。
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