2018 Fiscal Year Research-status Report
A Comparative Study on Industrialization and Reproduction of Bungalows in British Colonies
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17K06694
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
土岐 文乃 東北大学, 工学研究科, 助教 (70635573)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮原 真美子 佐賀大学, 理工学部, 准教授 (90726754)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地住宅 / バンガロー / イギリス / インド / オーストラリア / 量産住宅 / 戸建住宅 / 地域性 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災を契機として、改めて地方の量産住宅のあり方が問われている。100年以上プレファブリケーションの仕組みが保たれているイギリスの植民地住宅「バンガロー」を対象とし、インドを起源に産業化されたイギリス、オーストラリア、アメリカを比較しながら、その産業化の過程と現代における価値再生産の可能性を明らかにする。1)黎明期におけるバンガローの特性把握、2)建築形式の類型化、3)産業化過程における3ヶ国の生産システム比較、4)現代における保存・活用の実態把握、の4段階から、現代における量産住宅の価値再生産の方法に迫る。 2年目となる今年度は、インドのヒル・ステーション、シムラのバンガローおよびオーストラリアのクイーンズランド住宅の現地調査を行なった。インドのシムラは、1864-1911年にカルカッタの行政機能を一時的に移した「夏の首都」として機能し、官吏が住むためのバンガローが建設された。その多くは現在、行政官のための住宅となっているため、室内を確認することはできなかったが、現地の歴史家へのインタビューおよび文献資料より、間取りは前年度報告した紅茶農園におけるバンガローに類似しているものの、冬の冷え込みが著しいため、ヴェランダがガラス窓によって室内化されていること、現地の木材を骨組みとし、間を煉瓦で埋める地域の構法が採用されていることが確認された。一方、オーストラリアのクイーンズランド住宅は1840年代以降の移民増加および1850年代の蒸気機械製材の導入を背景に、堅木を骨組み、柔木を仕上げとする木造組み立て式の戸建て住宅が広く普及しており、原型のバンガローの特徴を持ちながらも気候・害虫・疫病・地形など様々な状況に対応するために高床式が一般化されていた。前年度のイギリスにおける調査も踏まえて、バンガローには二つの地域性=本質的地域性とイメージ的地域性があることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初はアメリカでの調査を予定していたが、最終年度に予定していたインドの補足調査およびオーストラリアの調査を入念に行うことによって、インド、イギリス、オーストラリア、の複数エリアにおけるバンガローの事例を確認でき、バンガローの地域性について有益な知見が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、アメリカにおけるバンガローの調査を実施し、量産住宅としてのバンガローの成立背景と生産システムに焦点をあてるとともに、これまでに調査してきた各国のバンガローの活用事例を整理し、量産住宅の価値再生産の可能性について考察する。
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Causes of Carryover |
人件費謝金が発生しなかったため。次年度の海外調査において使用する。
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Research Products
(2 results)