2017 Fiscal Year Research-status Report
個室ユニット型特養におけるインカム導入が介護職員の負担軽減に及ぼす効果
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17K06703
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
三浦 研 京都大学, 工学研究科, 教授 (70311743)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 健太郎 近畿大学, 建築学部, 教授 (60445046)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 介護負担 / 職員連携 / ユニットケア / インカム |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年4月にインカムを導入した個室ユニット型特別養護老人ホームH施設(京都市)を対象として,導入による介護職員間の連携や負担軽減の実態把握を目的として,1)導入前後の介護職員の歩数の実態調査,2)導入後のインカム使用実態の調査,3)アンケートに調査を実施した. その結果,使用場面では,8時間の調査時間中に平均50.7回インカムが使用されていた。特に使用が多かったのは10時~14時で,全体の72.4%を占めていた.これは入浴介助の時間帯であり,使用場面も入浴予定調整と入浴介助時が46.4%,入浴介助時25.7%と多い.ユニットから離れた位置にある共用浴室の使用に際して,インカムが威力を発揮する実態が把握された. また,インカム導入前後の歩数を比較すると,全体では1分間の歩数の平均値に有意差はなかったが,時間帯ごとに比較すると,歩数が統計的に有意に増えた時間帯と有意に減った時間帯に分かれた。ユニット共用浴室を使用する10:30~13:29は,インカムの使用が多く,かつ介護職員の歩数が有意に増えていた.逆に8:30~9:29,14:00~15:59はインカムの使用が少なく,また歩数も有意に減少していた.このことから,入浴時間帯は,インカムにより同じフロアの全職員と同時に連絡が取れるようになり,その時手の空いた職員が駆けつけやすくなった結果,歩数の増加に結び付いたといえる.逆に,その他の時間帯では,他のユニットにサポートに出ることもあるが,その一方でインカムにより,訪問しなくても連携が取れる結果,歩数が減ったと考えられる.いずれにしても,1日の全体として歩数の変化がないなかで,効果的にインカムが活用されている実態が分かった. 介護職員へのアンケート結果から,得られる情報の量,情報の質の改善,チームケアの充実度,仕事の満足度が改善しており,負担軽減に及ぼす主観的評価も確認された
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017年4月にインカムを導入した個室ユニット型特別養護老人ホームH施設(京都市)から協力が得られ,導入による介護職員間の連携や負担軽減の実態把握を目的として,1)導入前後の介護職員の歩数の実態調査,2)導入後のインカム使用実態の調査,3)アンケートに調査を実施できた.導入前後を比較すると,当初期待していたような歩数の単純な減少はみられなかったが,ユニットを超えた連携がとりやすくなり,その分の移動が増える時間帯と,無駄な動きが減少し,移動が減少する時間帯が生まれ,トータルでは歩数の増減はみられなかった.アンケートによる主観的評価では,インカム導入による負担感の大幅な軽減が確認できた.
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Strategy for Future Research Activity |
2017年度には一定の成果が得られたが,課題として,導入施設の都合により,調査時期が制限されるなど,調査フィールドの制約から,導入前後の調査方法が同一にできなかった点を挙げられる.このため,今後の調査としては,導入前後を同一の手法で調査可能な協力施設の獲得を第一に挙げられる. また,二点目は,申請字の研究計画に記載した通り,長期的なスパンでも導入効果の把握である.2017年度に調査を実施した京都市内の対象施設において継続的な一体把握を進めていきたい.
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Causes of Carryover |
2017年度,概ね研究は当初の計画通りに進捗したと考えているが,研究代表者が2017年度,専攻長の役職を務めた結果,学内業務に時間を割かれ,十分な研究時間を確保できなかった.そのため,調査対象施設が1施設に限定されてしまった.次年度使用額が生じた理由はそのためである.
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Research Products
(2 results)