2017 Fiscal Year Research-status Report
旧産業景観の形成における長期的な維持管理とパートナーシップ形成の手法に関する検討
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17K06705
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
宮川 智子 和歌山大学, システム工学部, 教授 (30351240)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 環境再生 / 旧産業景観 / パートナーシップ / 維持管理 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、低未利用となった産業跡地における環境再生および旧産業景観の形成におけるパートナーシップと維持管理について、明らかにすることを目的としている。 今年度は、最も多い産業跡地を有する英国北西部において森づくりを進める機関であるマージーフォレスト、関連する行政機関担当者、地域団体へのヒアリングと現地調査を実施した。研究計画に挙げていたノースウィッチウッドランズに加え、同様の事例を有するセントへレンズについても比較対象として調査を行った。現在、2018~2019度にかけて国際会議および学術論文としての発表に向けてとりまとめを進めている。 これらの2事例は、産業跡地において環境再生が行われ、敷地の一部では保護地区の指定を受けるなど質の高い維持管理が行われ、住民にとっての緑地をつくりだしている点で共通する。岩塩や塩水の産地として知られるノースウィッチウッドランズにおいては産業遺産、炭鉱やガラス工業の町として知られるセントへレンズにおいては住民との協働によるアートプロジェクトに焦点をあてた取り組みが行われている。パートナーシップについては、2事例において、住民や地域団体とともに活動が行われ、緑地におけるイベントの企画実施や維持管理への参加や支援が行われ、新たな文化や価値の創造につながる可能性があることが伺える。これらの事例を含めて、今後においては、公的資金のみでなく民間資金の可能性も検討しつつ、さらに長期にわたる公園緑地の維持管理の方針の検討が課題として挙げられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画予定に挙げていた産業跡地における環境再生の過程に関する調査を実施することができたため、予定どおり順調に進捗している。これまでの調査結果の分析およびとりまとめを行うことで、当初の目的を達成することが可能と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本研究テーマに関連して、長期的な観点による維持管理の方針およびパートナーシップ形成に関する調査を行うとともに、新たな文化や価値の創造につながる可能性も含め、産業跡地における環境再生が地域にもたらした評価および変化に着目して調査分析を進めることとする。 平成30年度は、これまでに行った英国北西部の旧産業地域における環境再生の現状および産業跡地の環境再生により新たに整備された複数の緑地を有するノースウィッチウッドランズおよび同様の事例である比較対象としてのセントへレンズでの調査結果をとりまとめ、国際会議での発表を行うとともに国際学術雑誌への投稿をめざす。 また、今年度は、旧産業地域における環境再生が行われたセントへレンズにおける複数の事例を対象として、環境再生が地域にもたらした変化や評価を行うことを目的とし、関連機関へのヒアリングと現地調査を行う。 平成31年度においては、これまでの結果を取りまとめ、所属学会および国際会議での発表を行うとともに、国際学術雑誌への投稿をめざす。また、平成29年度から3年間で得られた知見をもとに、今後の取り組みへの提案を行うことを目標とする。本研究の最終目標は、旧産業地域において環境再生が行われた緑地の長期的な維持管理に向け、旧産業景観の形成におけるパートナーシップ形成の手法の重要性と参加型による維持管理の取り組みが英国北西部における地域間をつなぐ広い意味での地域づくりにも果たす役割について明らかにすることである。
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Research Products
(3 results)