戦時下に建設された軍事工業都市における都市計画と市街地形成・変容に関する研究

2019 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 17K06711
• Research Institution: Sugiyama Jogakuen University
• Principal Investigator: 今村 洋一 椙山女学園大学, 文化情報学部, 准教授 (00568404)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2021-03-31
• Keywords: 旧軍用地 / 工業都市 / 豊川 / 鈴鹿 / 春日井 / 光

Outline of Annual Research Achievements

戦時下における軍事工業都市の成立から、終戦を経て高度経済成長期に至る都市再編まで、「戦争」と「工業化」という明治以降の二大トピックスと都市計画との関係を包括的に明らかにすることを目的とし、（１）戦時下での計画史と計画理論（軍用の都市計画、新興工業都市など）、（２）戦後の計画史と計画理論（旧軍用地の転用計画、都市施設の配置計画、戦後の区画整理など）、（３）戦時下での成立から現在までの市街地形成と変容、の三点を主な分析項目としている。
我が国の明治以降の歴史の中で大きな位置を占める「戦争」と「工業化」というトピックスと都市計画との関係を包括的に捉えようとした時、都市建設時から戦後の復興まで、その関係性が最もよくあらわれている可能性が高いのは、戦時下に建設された工業都市のうち、陸軍造兵廠や海軍工廠が置かれた都市で、かつ大都市近郊以外に立地する都市、すなわち、豊川、鈴鹿、光の3都市（いずれも海軍工廠）であるという見通しに立つに至った。しかし、豊川、鈴鹿の調査を概ね終えた中で、陸軍第３師団司令部の置かれた名古屋の近郊にある軍事工業都市との対比も必要でないかと考え、陸軍造兵廠を中心として成立した春日井も研究対象に加えることとし、２０１９年度は取り組んだ。大きくは春日井市内４か所に分散配置されていた陸軍造兵廠とその関連施設について、当時の施設配置と終戦時の状況、戦後の転用過程とその帰結としての１９７５年前後の旧軍用地の利用状況等を把握し、海軍工廠を中心として成立した他事例との比較の準備まで整った。

Current Status of Research Progress

4: Progress in research has been delayed.

Reason

当初の対象事例は、豊川、鈴鹿、光の３都市で、いずれも海軍工廠を中心として成立した軍事工業都市であったが、豊川、鈴鹿の調査を概ね終えたところで、大都市名古屋の近郊において陸軍造兵廠を中心として成立した春日井も、研究対象に加えることとした。そのため遅延することとなった。

Strategy for Future Research Activity

当初から対象事例としている光の調査を早急におこなった上で、４都市の比較分析をおこないたい。新型コロナウイルスの影響が長引けば、光を対象とした調査が遅れ、それに従い比較分析も遅れることが予想され、懸念している。
また、研究成果をまとめることはできても、次年度中に成果を公開することまでは時間的に難しいかもしれないと考えている。速報という形で、部分的にも成果を公開していきたいと考えている。

Causes of Carryover

遠方への出張を伴う調査の予定を次年度に繰り越したため、相当の旅費が使用されずに残っている。次年度にこの調査をおこない、旅費として使用する。
また、研究期間を１年延長したため、調査結果の整理や分析に係る費用が使用されずに残っている。次年度に必要な物品の購入、臨時雇用などをおこなう予定であるため、その費用として使用する。