2017 Fiscal Year Research-status Report
Planning Theory on Housing focused on Tatami-room Transfiguration and Significance
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17K06712
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 理工学部, 教授 (30244156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 和室 / 座敷 / 床の間 / タタミ / 住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
郊外型新興住宅団地を対象として、大分市内において過去20年以内に分譲が開始された計画戸数400戸以上の3団地を対象に、108件の訪問調査による有効データを収集し、①住宅および家族概要、②居住している住宅と選好する和室(タタミ室)の平面類型、③床の間の有無と要否、④和室の使われ方、⑤和室の希望用途の関係性について分析考察を行った。 まず、和室を設置している住宅が99件(91.6%)、選好でも94件(87.0%)であり、温存傾向が強い点が指摘できる。和室の平面構成を、「和室2室の続き間」「一つ間」「和洋続き間(双方向アクセス)」「和洋続き間(一方向アクセス)」「和室なし」に分類して、居住している(取得した)平面構成と選好との関係を捉えると、「一つ間」「和洋続き間(双方向アクセス)」においては一致率が半数を超えている。これに対して、「和洋続き間(一方向アクセス)」の場合の一致率は25.0%(28件中7件)にとどまり、「和洋続き間(双方向アクセス)」への選好が53.6%(28件中15件)みられるほか、「和室2室の続き間」(2件)や「一つ間」(4件)を選好しており、原状との大きな乖離が認められる。「和洋続き間(双方向アクセス)」居住者(39件)においても、「和室2室の続き間」(5件)や「一つ間」(6件)の選好があり、これらを含めると、和室への単独アクセスおよび室数の拡大志向が顕著である。すなわち、和室は今後消滅していくのではないかという懸念に反して、現代においても必要層や拡充志向は根強いものと考察している。 さらに、床の間の有無および要否と和室の用途(原状と希望)を平面構成との関係性についてのクロス分析を行い、詳細な考察を行ったところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住宅平面構成や訪問調査による住まい方の聴取などは、ますます協力を得られにくい状勢であり、初段階においての取得データは大幅に限られたものであった。このため、居住者の心証を十分に考慮しながら、同一世帯に重ねての協力要請を行うなどの努力を重ねて調査を行ったものである。その結果として、分析に値する上述のデータを得ることができた。しかしながら、入手できた有効サンプル数が目標をやや下回った点が反省としてあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの先行研究で取り組んできた住宅団地にとどまらず、農村地域を広げて、現代における和室の存在基盤を明らかにすることが、本研究の大きな着眼のひとつであり、その調査対象の妥当性を十分に考慮して選定することが当初からの留意点であった。 この課題を克服するために、行政庁および各地の建築士会の人的ネットワークを活用して、情報収集を行っているところである。
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