2018 Fiscal Year Research-status Report
Planning Theory on Housing focused on Tatami-room Transfiguration and Significance
Project/Area Number |
17K06712
|
Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 理工学部, 教授 (30244156)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 和室 / 座敷 / 床の間 / タタミ / 住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度実施した中核都市(大分市:有効サンプル108件)に加えて、2018年度には地方小都市(竹田市:有効サンプル74件)における郊外型新興住宅団地で、なおかつ、過去20年以内に分譲が開始された住宅団地を対象に、①住宅および家族概要、②居住している住宅と選好する和室(タタミ室)の平面類型、③床の間の有無と要否、④和室の使われ方、⑤和室の希望用途の関係性についてデータを収集して、現代における和室の存在基盤についての分析を行った。 両都市を比較すると、まず、中核都市では和室を設置している住宅が99件(91.6%)、選好でも94件(87.0%)であり、小都市での和室設置が71件(95.9%)、選好は85件(87.8%)であり、いずれも温存傾向が強い点が指摘できるのだが、居住者ニーズには都市性による違いが現れている。この点を端的に比較考察ため、和室における「床の間の有無と要否」と「接客専用利用の現状と希望」の2軸の指標を抽出し、和室に求める志向を「伝統性」・「転用性」・「融通性」・「補完性」に類型化した結果からは、小都市が依然として「伝統性」志向(すなわち、和室には床の間が必要で接客専用利用を求める)が支配的(55.4%)であるが、中核都市では「伝統性」志向が減少(33.3%)し、これに代わって「転用性」「融通性」「補完性」志向に分散化しており、いわば多様化が進行していると解釈することができる。 和室の平面構成についても、引き続き「和室2室の続き間」「一つ間」「和洋続き間(双方向アクセス)」「和洋続き間(一方向アクセス)」「和室なし」に分類して、居住している(取得した)平面構成と選好との関係をとらえており、和室への単独アクセスおよび室数の拡大志向が顕著である。すなわち、和室は今後消滅していくのではないかという懸念に反して、現代においても必要層や拡充志向は根強いといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
住宅平面構成についてのデータ収集や訪問調査による住まい方の聴取などは、ますます協力を得られにくい状勢である。公的住宅供給主体や所在する自治体の担当部局、および自治会を経由して依頼した調査においても、協力が得られなかった団地もあり、これまでの段階において取得したサンプル数は、当初の予定に比べると限られたものであった。しかしながら、類型化が可能で、都市性の違いを明らかにするための有意性のある分析結果を得ることができた。望ましくは、分析考察をさらに精緻化する必要があると考えている状況である。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの住宅団地に加えて、農村地域および対照的な大都市圏壱岐郊外の住宅地に対象を広げて、現代における和室の存在基盤を明らかにすることが、本研究の大きな着眼のひとつであり、その調査対象の妥当性を十分に考慮して選定することが当初からの留意点であった。この課題を克服するために、行政庁および各地の建築士会の人的ネットワークを活用して、情報収集を行っているところである。 さらに、研究対象を拡充し、集合住宅における和室の設置状況についても同様の観点から現状と動向を明らかにする必要があり、予備的に調査を開始しているところである。本研究に包含して、総括的な結論につなげていきたい。
|
Causes of Carryover |
研究調査を実施した結果として端数金が生じたもので、これを次年度における研究調査旅費として使用する。
|