2019 Fiscal Year Annual Research Report
Planning Theory on Housing focused on Tatami-room Transfiguration and Significance
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17K06712
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
鈴木 義弘 大分大学, 理工学部, 教授 (30244156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 和室 / 座敷 / 床の間 / タタミ / 住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
地方中核都市と小都市における郊外型新興住宅団地を対象に、現代における和室の存在基盤についての分析を行った。和室に求める志向を「伝統性」・「転用性」・「融通性」・「補完性」に類型化した結果からは、中核都市において従来の「伝統性」志向に代わってその他の類型に分散化しており、いわば多様化が進行していると解釈することができるが、一方小都市では、依然として接客専用の続き間座敷への希望が高く、「伝統性」への強い志向が確認された。しかし、和室の平面構成を「和室2室の続き間」「一つ間」「和洋続き間(双方向アクセス)」「和洋続き間(一方向アクセス)」「和室なし」に分類して、居住している(取得した)平面構成と選好との関係をとらえてみると、和室への単独アクセスおよび室数の拡大志向が顕著であり、和室志向の根強さが示唆された。 これに加えて、福岡県を対象とした分譲集合住宅についても、和室の設置状況の経年変化の分析考察を行った。データの内訳は、主として九州の拠点的中核都市であり、わが国の現状を反映しているものと判断できる。これによると、集合住宅において和室はほぼ消滅しているという一般的な観測はあてはまらず、ここ20年間で7割が和室を設けているという現状にあることを示した。居室数が5室の場合には和室設置率が極めて高く、4室でも同様であったが、しかし近年では4室が和室採否の境界となってきており、総じて、和室の設置率、面積水準、平面構成、空間構成要素などにおいて、従来の和室の水準からは明らかに低下していることも判明した。とはいえ、和室を温存・継承する志向も認められ、和室の自由度が温存傾向に反映しているものと考察される。 以上の研究成果を発展的に継続するため、和室の有用性に着目しながら、戸建て住宅と集合住宅の同一性と差異性についての考察と、これらを統合した住宅計画論の提案が必要であると考えている。
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