2017 Fiscal Year Research-status Report
US-Japan Comparative Study of pre-disaster planning for post-disaster recovery
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17K06715
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 助教 (00636467)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 事前復興 / 防災計画 / レジリエンス防災 / 災害マネージメント |
Outline of Annual Research Achievements |
1995年の阪神・淡路大震災後,2000年代に入って建築・まちづくり専門家の提案により展開してきた「事前復興まちづくり」は,東京都内51地区(2018年3月)で「震災復興まちづくり訓練」が実施されるなど,一定の水準に到達している.また,2005年ハリケーン・カトリーナ災害後,アメリカ合衆国においても,事前復興計画の取り組み(pre-disaster planning for post-disaster recovery)が体系化されつつある.たとえば,FEMAは2017年3月にNational Disaster Recovery Frameworkを公表するなど,ハリケーン災害および西部の地震災害に対しても災害対策としての位置づけが明確になりつつある. 本研究は,このような事前復興計画手法の日米での展開を踏まえ,その比較考量を通して,わが国の「事前復興対策」の達成水準を考察するものである.本研究は建築・まちづくり分野のアプローチを踏襲し,主な比較分析項目として,復興計画法制度と事前復興対策の枠組み,地域復興主体,時限的市街地(仮住まいのデザイン),事前復興ワークショップ手法が想定される.事前復興対策は2015年国連仙台防災枠組でも言及されている方法論であり,本研究の成果は,国際防災戦略の展開にも資するものと考えられる. 研究は同時に,2017年度から2020年度に設置された,建築学会都市計画本委員会 事前復興・災害対策小委員会を通して成果報告と議論を交えながら,深めていくことを想定している(研究代業者は当該小委員会の主査を務めている).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題に着手して1年目の2017年度は,主として年度前半,日本の事前復興計画の展開に詳しい市古(研究代表者),米国の災害復興に詳しい井内,Liz(研究分担者)が,これまでの知見をレビューし,主要な書誌を収集し,レビューと相互討論をおこなった.また7月にはイリノイ州立大学のロバート・オルシャンスキー教授とのディスカッションの場も設け,当研究課題の主要な論点を改めて共有することができた. その上で,2017年9月後半,サンフランシスコ市およびサンフランシスコ・ベイエリア地域でのHazard Mitigation Planingの取り組みについて,現地訪問調査を実施した.サンフランシスコ・ベイエリアでProjectを実施しているRPO(Regional Planning Organization)のABAG,サンフランシスコ市の災害管理スタッフ,1989年サンフランシスコ,ロマ・プリエタ地震からの都市復興で「物語復興」として注目されているサンタクルズ市,USGSなどを訪問し,現場で災害管理および都市計画の専門家集団とのディスカッションを行い,アメリカ西海岸地域での取り組みの現場の熱意を感じることができた. 書誌調査およびサンフランシスコ市現地調査も踏まえ,2018年3月16日に建築学会都市計画委員会,事前復興・災害対策小委員会が開催した「復興準備」を主テーマとした公開研究会において,その一端を報告し,国内研究者と議論を行うことができた. 以上を踏まえ,本研究はおおむね順調に進捗しているものと考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
4年間の研究の2カ年目となる2018年度は,ワシントン州とオレゴン州での地震ハザードを主ターゲットとした事前復興の取り組みについて,現地調査を予定している.現地調査にあたっては,研究分担者のLiz Maryがワシントン州立大学の都市計画および防災関連の研究者とネットワークがあり,事前のメールやりとりなども交えながら,現地において,セミナー形式で意見交換することを予定している. 加えて,2018年9月の建築学会大会では都市計画本委員会の研究協議会として「復興まちづくりと空間デザイン技術」が準備されているが,研究代表者も「事前復興のデザイン技術―災害を仮構して平時のプランニングを進める」として本研究の知見も踏まえて報告を行う予定である. 現地訪問調査や建築学会大会での報告とディスカッションを軸に,関連調査資料などの読み込みも含めて,研究推進を図っていく所存である.なお研究代表者は,2017年度に引き続き,2018年度においても,葛飾区および豊島区において「震災復興まちづくり訓練」に従事し,アクションリサーチを継続していく.
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Causes of Carryover |
主として,サンフランシスコ現地調査において,早期に航空券を押さえたり,現地移動において,できるだけ公共交通機関を使うなど,調査旅費の圧縮と効率化に努めたため. 4年間全体としてみれば,米国現地調査旅費は,不足することも考えられるため,2年度目以降の現地調査において有効活用する予定である.
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Research Products
(7 results)