2020 Fiscal Year Research-status Report
US-Japan Comparative Study of pre-disaster planning for post-disaster recovery
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17K06715
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
市古 太郎 東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (10318355)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MALY Elizabeth 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (00636467)
井内 加奈子 東北大学, 災害科学国際研究所, 准教授 (60709187)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 事前復興 / 適応型復興 / レジリエンス / 創発性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,阪神・淡路大震災を契機として展開した我が国の「事前復興まちづくり」を日米比較の視点から相対化・体系化していくことをめざしている. 研究4ケ年度目,研究実績は次の3点となる. 第1に,米国での事前復興計画に関する文献調査を推進し,発災後の対応組織類型としてDyensらの4類型のうち,第Ⅳ類型の創発型(Emergence)組織について,米国災害研究分野でのResilience概念との関係性および米国FEMAが提唱する復興事前準備のフレームワークとの関係について考察を進めた.そして,日本で展開する「事前復興まちづくり」において,復興プログラム,ないし協働復興組織づくりが重視されてきたことを踏まえ,事前復興まちづくりが発災時の「創発性」を発揮するための準備という位置づけができることを,豊島区での10年間,8地区の事前復興に関するワークショップ成果を元に考察し,都市計画学会大会にて発表した. 第2に,事前復興まちづくりを地震災害だけでなく,気象災害や土砂災害にも拡張していくというこれまでの本研究の展開経緯も踏まえて,2000年土砂災害防止法に基づく土砂災害警戒区域が指定されている郊外斜面住宅地において「適応復興準備」という視点から全世帯アンケート調査を実施した.これは2019年度に実施した「適応型防災ワークショップ」を踏まえて,ワークショップ参加者に留まらず,地域住民がどう土砂災害リスクに向き合い,折り合いをつけようとしているか,考察するものである. 第3に東日本大震災10年を迎える年度にあたり,都市計画学会の担当理事として,2020年3月13日と3月27日に開催したオンラインシンポジウムの企画実施を担当し「都市計画が果たした役割とは何か」を中心となる「学術的問い」として,行政担当者や民間都市計画プランナーとの対話をおこなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
最終年度の研究成果報告として予定していた都市計画学会への査読論文投稿を行い,2020/11月に公表にいたった.また2020/9月の災害復興学会論文集において「未被災地の日常の現場から育まれる復興概念の可能性 ―東京の事前復興まちづくりから―」として論文公表を行った.一方で予定していた米国での実態調査が新型コロナ禍の影響で進めることが難しく,研究期間の1年延長を行った.
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究目的を達成するために,主として文献調査により米国での取り組みと関連研究を踏まえたわが国の事前復興対策の意義と到達点について,延長した来年度にとりまとめる.
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Causes of Carryover |
4年間の中で研究課題達成を推進する上で,1,2年目の米国現地調査,3年目の文献調査と国内事前復興まちづくり調査を推進,最終4年目で国際会議発表を予定していたが,コロナ禍のため中止や会議1年延期となり,次年度に研究期間を延長し,研究課題を達成する予定である.
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Research Products
(5 results)