2017 Fiscal Year Research-status Report
住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究
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17K06721
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 寿美子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40418984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 賃貸併用住宅 / 住宅展示場 / 住宅建替え / 既成市街地 |
Outline of Annual Research Achievements |
住宅所有者の住宅更新の意向および、近年の動向を把握することを目指した。そこで、住宅所有者の情報収集先として、重要とされる住宅展示場を対象とした訪問および聞き取り調査を実施した。 既存研究を確認した結果、住宅展示場を調査対象とした研究がないことから、住宅展示場の実態(展示している住宅棟数、敷地面積、展示している住宅メーカー数、展示場のコンセプトなど)をWEB情報をもとに、展示場への聞き取りも含めて、データ化した。東京都内には34か所、展示されている住宅は389棟であり、立地条件や敷地面積によって展示されている住宅の規模や形式が異なっていることが明らかとなった。 「賃貸併用住宅」は、更新時の経済的メリットとともに税制面での優遇も含め、大手住宅メーカーでは取り組んでいることがわかった。特に、郊外部や東京西部の住宅地に立地する展示場では、一般的な住宅に交じって賃貸部をもった住宅の展示がみられた。賃貸併用住宅を展示している6か所の展示場で、聞き取り調査を行った結果、情報収集のために来訪する建築主に対して、経済的メリットを含め、様々な提案を行っていた。消費者にとって、住宅展示場に期待することの第一は住宅関連の情報であり、「展示場」が消費者とビルダーを結びつける役割を担っていることが再確認された。 また、第一次住宅取得層(子育て世代)を対象とした住宅および住宅地のニーズ調査を多摩市内で実施した結果、住宅とともに住宅地やその周辺施設、コミュニティに関するニーズが小さくないことが確認された。これらの詳細な分析はH30に行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した展示場の実態調査および聞き取り調査を行い、住宅所有者の建替え動向について把握した。ただし、少子高齢化により、住宅の建替えおよび賃貸住宅の空き室化の影響を検討する必要があるものと考えている。 賃貸住宅の需要の変化などに対し、供給側では賃貸併用住宅のあり方を見直し、建築する地域の賃貸住宅需要を踏まえた提案を行うようになっている。単なる建替え時の経済的メリットのみでは建替えにつながらなくなる可能性も含め、有用性を検討していくことが今後の課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
賃貸住宅の需要の変化に対して、供給側の現状を把握することが必要と思われる。 H30年度は、賃貸住宅の空き室化が進む中、賃貸併用住宅の有用性に注目して、調査を実施する計画である。特に、オーナー住宅と併設していることの利点として、①住宅建物の維持管理面、②地域コミュニティとの融和性に加え、どのようなメリットがありえるのか、賃貸居住者にとってのメリットなどについて、検討していくこととする。 賃貸住宅の仲介を行っている宅建事業者および賃貸住宅の供給側(住宅メーカー等)への聞き取り調査を実施する計画である。
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Causes of Carryover |
質問紙調査の入力作業を委託したところ、予定した費用よりも低廉な費用で行うことができたため、残金が生じている。また、学部移転に伴い、3月の作業ができず、予定していた聞き取り調査などがH30年度実施となっている。
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