2021 Fiscal Year Research-status Report
住居系市街地の住宅更新における賃貸併用住宅の有用性に関する研究
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17K06721
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Research Institution | Otsuma Women's University |
Principal Investigator |
松本 暢子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (90183954)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大橋 寿美子 大妻女子大学, 社会情報学部, 教授 (40418984)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 賃貸併用住宅 / 住宅更新 / 住宅継承 / 賃貸住宅市場 / 住宅の維持管理 / 住宅資産 |
Outline of Annual Research Achievements |
住宅市街地では、近年、家族による住宅継承が行われず、住宅更新の遅れや空き家・空き室化が顕著となっている。そのため、これまでの市街地更新とは異なる更新過程を明らかとしていく必要がある。本研究では、これらの更新過程を明らかとし、その結果として出現する住宅市街地の住環境の実態とその問題について考察するものである。家族による住宅更新・住宅継承の促進および市街地環境面を考慮した賃貸併用住宅建築のあり方を示すことを目的としている。 そこで、新たな更新過程の一つと考えられる資産運用型住宅建築の実態を把握するために、世田谷区奥沢および東玉川地区の現地調査を実施し、前回調査の結果と比較検討し、近年の建築動向を把握するとともに、その特徴を整理した。資産運用型住宅建築の増加について、統計資料および行政資料による把握を試みた。 また、空き家の増加について、その経緯を把握するため、事例調査を行った。世田谷区および狛江市空き家等対策協議会における空き家事例に関する協議会資料をもとに、その経緯の把握を含めて、住宅更新のおくれには家族による居住継続や住宅継承の難しさが存在することを確かめた。親子世帯が別居する傾向が強く、親世帯の長寿命化につれ、別居した子世帯との同居が行われることは少なくなり、親世帯の居住する住宅が更新されにくくなり、空き家化することが分かった。住宅資産として評価の高い住宅市街地の場合は、居住継承・住宅更新が行われる可能性が高いと考えられていたが、近年では相続される際に更地として売却されることが多くなっていることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため、現地調査および事例調査の実施が難しく、建築実態の把握やその経緯のヒアリング等が十分に行われていない。オンラインでの調査による補足は行えるものの、住宅資産の運用や相続などの意向といった個人情報を含む内容のヒアリング調査は対面での調査が必須と考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍が収まるなか、今年度中に現地調査および事例調査を行い、これまでの分析を踏まえた最終的なまとめとしたい。 世田谷区と都心部の2地区での建築実態を分析する計画であったが、世田谷区およびその周辺(狛江市・調布市)の住宅市街地を詳細に分析することで最終的な考察を行うこととする。 資産運用型住宅建築の増加傾向、その影響を分析し、これら建築のあり方およびその誘導・制御方策、地域資源としての利活用の方向性を示すことを目的とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、計画した現地調査および事例調査が実施できなかった。また、研究調査及び発表のための出張旅費の使用ができなかった。
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