2017 Fiscal Year Research-status Report
A study of the process and the methods of restructuring community facilities by multi-functionalizing and integrating them
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17K06723
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
廣田 直行 日本大学, 生産工学部, 教授 (00277394)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 公共施設再編 / コミュニティ施設 / 多機能複合化 / 公共ストック / リノベーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人口縮減社会における地域公共施設の在り方として“公共建築ストックを活用した多機能複合化”によるコミュニティ施設再編のプロセスと方法を求めることを目的とする。コミュニティ活動の中心施設となっている公民館・コミュニティセンター・図書館等に着目して,施設再編計画の策定状況を全国レヴェルで把握し,その問題点を明らかにする。更に,リノベーションによる施設整備の先進国や先行自治体の調査から有効な知見を得ると共に,多機能複合化の可能性と有効性を示し,官民連携の「新たな公共」の概念をまとめることを目的としている。 上記の目的に対して,今年度は全国814市区に対し,公共施設再編計画の進捗状況について,主に「公共施設等総合管理計画」及び「個別施設の実施計画」,「立地適正化計画」の策定状況と,それらの計画に係わる施設更新の実態について郵送アンケート調査を実施した。この結果から,公共施設再編事業が先行して行われると考えられる98自治体を特定し,この自治体を現地調査対象事例とした。今年度は,安藤淳一氏・大坊岳央氏・久能恵太氏・山岸輝樹氏の協力により,日立市・さいたま市・佐倉市・茂原市・鎌倉市・藤沢市・茅ヶ崎市・八尾市・伊丹市・明石市・桜井市・石狩市・恵庭市の13市について調査を終えた。また,公共施設の再編に係わる計画立案を先行して行った自治体の計画内容から,再編方法のキーワードを抽出し「再編指標」(13指標)と位置づけて,現地リアリング調査に使用している。さらに,再編計画の支援ツールとして,ハブラーケン氏の研究資料から抽出できた40のキーワードを10のカテゴリーに整理し,「新しい公共」に向けた具体的な提言集の基礎資料を得た。 これらの結果を踏まえて,次の段階ではコミュニティ施設の多機能複合化の有効性についての分析を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね計画通りに進んでいる。 これまでの13自治体の調査結果からは,公共施設再編方法として,「多機能複合化」や「リノベーション」の他に,「PPP・PFI」を行う自治体が多いことが確認された。また,公民館やコミュニティセンターなどの地域施設は,住民の反発が大きいことから後回しにしている傾向にあることが感じられた。同様に,学校施設の積極的な再編計画は,教育委員会との調整に壁があることが分かった。 このため,全国調査を基にした公共施設の再編計画と,コミュニティ施設に特化した再編計画は,同時並行で進めるべきと判断し,2つのベクトルで進めることに変更した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の予定通り全国自治体へのアンケート調査を完了し,その結果から公共施設再編の先行自治体を特定し,引き続き現地調査および行政担当者へのヒアリング調査を継続する。 ハブラーケンの言説から,再編計画の支援ツールを整理する作業が予定以上のペースでまとめられたことから,新たに千葉県に限定して,コミュニティ施設の再編と学校施設の再編方法に特化して調査を行うこととした。 再編を遂行する上で,課題となる点を明らかとして,再編方法に係わる注意点としてまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
全国自治体への郵送アンケートの総額と論文投稿料が予定より大きかったものの,人件費・旅費交通費を抑えることができた。次年度の旅費として使用予定である。
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