2017 Fiscal Year Research-status Report
Open Space Management through PPP in UK and US
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17K06727
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
坂井 文 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (80401701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BID / パークチャージ / 公園管理運営基金 / トラスト組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、現在英国ですすめられている官民連携による公園緑地マネジメントの運用手法と財源を調査するために、主に次の3点について調査した。 まず、英国にて10年程度前に導入されたBID(ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト)による公共空間の管理運営については、ロンドン中心部で活動を展開しているハート・オブ・ロンドンと、地方都市の事例としてニューカッスル市のニューカッスルNE1について明らかにした。ロンドン市中心部のBIDエリアは観光客も多く、夜の観光地としても有名であるため、安心安全の観点から、特に公共空間は警備や清掃といった管理について力をいれていた。他方、地方都市においては、中心部の活性化にむけたプレス・メイキングによる環境整備に力をいれていた。各エリアの直面する課題に対して、BIDの活動は集中的に対応策を講じる有効な手法であるといえる。 次にパークチャージについては、ロンドン・オリンピック・パラリンピックの開催地ともなったクイーン・エリザベス公園について明らかにした。オリパラ開催後に住宅開発のすすむ公園周辺においては、地元自治体の財政的な負担をさけるため、公園の管理運営にあてるパークチャージが徴収されている。ロンドン市内の他の大規模開発地においても同様の手法がとられていることも明らかとなった。 最後に、管理運営基金をもとに自主財源を確保し管理運営を展開しているトラスト組織について、ロンドン中心部と地方都市ニューカッスルの事例を調査した。ロンドンにおいては都市開発にともない創出された公的空間をトラスト組織によって管理運営している箇所が複数存在した。地方都市においては、自治体が管理する公園の一部を新規形成するトラスト組織に管理運営委譲する試みがはじめられていた。公的空間のトラスト組織による管理運営は自主的な活動を可能とし、今後の展開の可能性をさらに確認する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況はおおむね順調といえる。英国における官民連携による公園緑地マネジメントの運用手法と財源について調査をすすめた結果、自主財源の確保に関わる取り組みが複数あることが明らかになってきた。これは研究助成申請書作成以降も、新たな取組みが展開されているためであり、英国での取り組みについて継続調査する必要があると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
米国における官民連携による公園緑地マネジメントの運用手法と財源についての調査をおこなう。具体的には、①NPOによる官民連携のしくみ、②都市開発による特例制度、また③BIDや④TIFなどの税制度、⑤企業による寄付や援助等を含む自主財源確保の取り組みなどについて、調査を行う予定である。調査の方法としては、まず文献調査を通して各手法のしくみと具体の運用事例について基礎調査を行なう。次に、基礎調査から特徴的や代表的な視点から調査対象を選定し現地調査を行なう。同時に、調査対象となった公園緑地を運用する自治体および民間組織に対して、運用状況および効果と仮題についてヒアリング調査を行なう。現地・ヒアリング調査の対象は、大規模都市と地方都市において複数都市を考えている。 他方、初年度の英国での調査結果より、自主財源の確保に関わる取り組みをさらに調査するとともに、そのうち特に管理運営基金やトラスト組織による官民連携による公園緑地マネジメントはわが国においても展開の可能性があると考え、継続的に調査を行う。
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Causes of Carryover |
当該年度は旅費が主たる使用用途であった。旅費のうち特に航空運賃は季節変動があり、当初予定していた金額より少々低い航空運賃となったため、次年度使用額が生じた。
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