2018 Fiscal Year Research-status Report
Open Space Management through PPP in UK and US
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17K06727
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Research Institution | Tokyo City University |
Principal Investigator |
坂井 文 東京都市大学, 都市生活学部, 教授 (80401701)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | BID / NPO / トラスト組織 / 地方創生 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、英国と米国ですすめられている官民連携による公園緑地マネジメントの運用手法と財源を調査した。 まず英国については、ロンドン中心部にて公園緑地マネジメントを展開している複数のトラスト組織の取組みについて重点的に調査した。トラスト組織は、活発な都市開発による開発還元を基金化することによって主たる財源を確保し活動を展開している。しかしながら金利の影響等の経済状況をうけやすく、その持続可能な管理運営の展開が課題となりつつあることが明らかとなった。 次に米国については、BIDによる公園緑地マネジメントのブライアントパークでの成功事例から発展した、BIDとNPOの協働によるマネジメントや、地方都市における展開に着目し調査した。公園緑地の部分はNPOが管理運営し、その周辺をとりまくエリアをBIDとして環境整備する役割分担をおこないながら、公園緑地を中心としたエリアのまちづくりを一体的に行っている取り組みがいくつかある。具体的にユニオンスクエアーの取組みを調査したところ、NPOとBIDの構成メンバーが重複しており関係性が構築されていることがわかった。またエリアはビジネスのみならず大学や住宅が混在していることも、NPOとBIDの協働体制がより有効に機能する要因と考えられる。 地方都市における展開としてフィラデルフィアとワシントンDCにおけるBIDによる公園緑地マネジメントについて調査した。地方都市の中心市街地活性化は米国における課題でもあり、その対応として広場や都市公園の再整備とその後の管理運営をBIDを中心にとりくんでいる。BIDという同様の手法ではあるが、その展開の仕方は異なることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までの進捗状況はおおむね順調といえる。英国における公園緑地マネジメントの運用手法と財源についての現地調査を終了し、手法ごとの課題と展望をつかむことができた。具体的には、BID(ビジネス・インプルーブメント・ディストリクト)やパークチャージ、そして基金をもとにしたトラスト組織による財源確保の違いについては、特別税であるBIDやパークチャージは比較的安定した財源となるが、その導入の過程については関係者の合意形成が重要であり導入に至らないこともある。他方、トラスト組織はその基金の運用が重要であり持続可能な管理運営体制の構築にむけた工夫が必要であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
当該年度の米国での調査をうけ、大都市中心部ではBIDによる公園緑地の管理運営のみならず地域の特性によってはNPOとBIDの協働による取組みが行われていることがわかり、大都市中心部における多様なBIDの導入のあり方について、今後引き続き調査する予定である。 また地方都市の取組みについては、フィラデルフィアは複数の都市公園の連続性を確保するために再整備が連携して行われ、中心市街地の活性化が持続する工夫がされていた。ワシントンDCについては、都市公園の多くを国立公園事務所が所有しており、その管理体制の複雑さが再整備までに時間を要している状況が明らかとなった。しかしながら、国立公園としても都市の中心に位置する公園を再整備すること、また公民連携の重要性は認識していることがわかった。地方都市におけるBIDの取組みが加速度的に進んでいること、また都市によって取り組みが異なることがわかり引き続き調査を行う予定である。
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Causes of Carryover |
当該年度は旅費が主たる使用用途であった。旅費のうち特に航空運賃は季節変動及び燃料サーチャージの変更があり、当初予定していた金額より低い航空運賃となったため、次年度使用額が生じた。米国における取組みの継続調査のための出張を計画しており、複数の地方都市を調査する予定である。
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