2017 Fiscal Year Research-status Report
Consideration of the guideline for effective assisted evacuation for nursery home in a high-rise building.
Project/Area Number |
17K06730
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐野 友紀 早稲田大学, 人間科学学術院, 教授 (70305556)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 保育施設 / 避難 / 高層建築物 / ガイドライン / 子ども |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、働き方改革などに関連して、社会的ニーズが高まっている高層建築物内に設置される保育施設の避難安全性を調査するとともに、その結果として安全性を確保するための保育施設の避難計画に関するガイドラインを提示することを目的とする。科学研究費2014~2017年度に実施された「待機児童解消のための規制緩和による高層建築物内保育園設置に対する避難安全の検討」に関連する研究として、その知見を引き継ぎ、 データなどは適切に活用し、再分析を実施するなど関連しながら進める。本年度は、まず、2014年度科研費の成果・知見をもとに、前段の研究と本研究の関係、今後の進め方を整理・検討した。 また、保育施設Web公開データの集計による、保育施設分類別の施設数の実態調査として、経年的に変化する保育施設の状況について、現状の把握を行なった。このための調査補助者金を利用した。加えて、先の調査より、規模別、地域別の保育施設の状況を把握し、そのデータをもとにサンプリングを行い、保育施設への防災安全に対するアンケート・ヒアリング調査の具体的な実施計画を策定した。この計画をもとに2018年度に調査を実施する予定である。また、2018年度の調査に向けて、機材の準備などをおこなった。 国際共同研究の準備として、関連研究のレビューを行うとともに、Sweden, Lund大学のEnrico Ronchi博士、Daniel Nillson博士と複数回のSkypeでのミーティングを実施し、今後の研究の計画及び打ち合わせの計画などについても検討した。その成果として、2018年9月にLund大学を訪問し、共同研究の具体的な打ち合わせを実施することとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画した(1)保育施設Web公開データの集計による、保育施設分類別の施設数の実態調査については、予定通り実施でき、現状を把握するとともに、以下の(2)の調査先選定を行った。 (2)保育施設への防災安全に対するアンケート・ヒアリング調査については、順調に準備を進めている。なお、関連する2014年度科学研究費との関連性を考え、実際に現地調査に入る前に既存データの再確認と整理を専攻して実施した。各項目による進捗の違いはあるが、概ね順調に進展している。2014年の科学研究費を1年延長したことなどから、前研究のまとめと今後の課題の整理などを行ったが、これを踏まえて、本研究への知見の利用などを行える見込みとなった。また、前研究で今後の課題となった小規模保育施設の実態把握などについての必要性なども明らかにし、研究計画全体の詳細検討を行った。 (3)国際共同研究として、Lund大学の2人の研究員とのSkypeを用いたネットワークミーティングを実施することで、今後の進め方についての計画をまとめた。 昨年度は各計画課題について、実態に合わせて適宜修正しながら研究遂行を行なった。 上記のように、本研究はおおむね順調に進展していると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
上記の(2)現地調査については、実際の調査対象保育園に対して、計画をつたえ、複数についてアポイントメント済みであり、次年度に向けて、順調に研究を進行できる準備は整っている。2018年度に複数の保育所における調査を実施する予定である。特に、地域差などが考えられることから、複数の地域から選定した地区において調査を実施する予定である。加えて、地域特性の他に、日本国内と海外の差異も考えられることから、アジア地区、ヨーロッパ地区での高層建築物および保育施設の調査も並行して行うことが望ましい。 (3)国際・国内共同研究については、今後もSkypeを用いたミーティングを実施するとともに、Swedenに渡航し、Lund大学現地でのミーティング及び研究計画の検討を実施する予定である。加えて、日本における子ども・保育施設研究の研究者とも研究協力を行うことが望ましい。 (4)避難シミュレーションをもちいた高層建築物内保育施設の介助避難方法の検討・評価として、申請者らが開発したシミュレーションソフトウエアSimTreadを用いて、介助避難方法の検討を行う予定である。そのためのサンプルとなる保育施設の図面収集およびモデリング、シミュレーションの実行などを行う。これに対しては、当該分野の専門教員であるLund大学のDaniel Nillson, Enrico Ronchi教授の専門的意見を聴取する予定である。 上記のように、本年度は日本国内外における事例調査を実施するとともに、シミューレーションによる避難計画の検討、また、当該の内容について、国際共同研究として、ディスカッションを行いながら進めてゆく予定である。
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Causes of Carryover |
(2)保育施設への防災安全に対するアンケート・ヒアリング調査について、過去の研究成果の検討に合わせて、調査場所の選定などを慎重に行なったため、2017年度は計画とし、具体的には、メインを2018年度に実施することとした。特に、遠隔地を訪れる調査については、本年度実施予定であり、その分の予算を執行する。なお、2018年度には、地域性、国別の特性などを考慮し、日本国内の遠隔地およびアジア、ヨーロッパ地区の調査対象地にでの、高層建築物および保育施設の調査を実施する予定である。また、(1)保育施設Web公開データの集計による、保育施設分類別の施設数の実態調査については、毎年変動があることから、継続して実施する。これらのための旅費および調査データの分析補助者の謝金を執行する予定である。
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