2017 Fiscal Year Research-status Report
小規模多機能型居宅介護施設と集住施設の連携による介住近接型高齢者居住モデルの研究
Project/Area Number |
17K06739
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
上和田 茂 九州産業大学, 建築都市工学部, 教授 (70122596)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 小規模多機能型居宅介護事業所 / 利用圏 / 地域密着性 / 高齢者 / 集住施設 / サービス付き高齢者向け住宅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、小規模多機能型居宅介護事業所の本来の特性である「地域密着性」を回復する手立てとなる「事業所と集住施設との併設・連携モデル」の有用性及び設置要件を追究することを目的として、第1に、行政関係者及び施設管理者における地域密着性の概念についての認識の状況把握、第2に、事業所と集住施設の併設・連携事例を対象とする併設効果の検証を行う。 2017年度は、第1課題について、事業所の利用圏において地域密着性が希薄である6都市の事業所を対象に、行政関係者及び施設管理者への郵送アンケートを通して、地域密着性に対する認識の希薄傾向が顕著であることを立証した。同時に、地域密着性を回復するには、「利用者を事業所の近隣在住高齢者に限定すること」、「事業所が利用高齢者と地域住民との間の地域生活を持続させること」、「事業所が近隣地域の住民組織との組織的な接触・交流を行うこと」の3点が重要な要件であることを明らかにした。 第2課題については、当該都市内に10ヶ所以上の事業所を有する41都市1,766事業所を対象に、「集住施設との併設の有無」、「併設の意図」、「併設の設置形態」、「管理運営状況」等について郵送アンケート調査を行った。その結果、34都市156事業所において集住施設との併設が判明した。併設の意図については、両者の設置時期の関係から、次の3タイプに分類される。(1)集住施設先行型:集住施設における高齢居住者の介護強化を目的とするもの、(2)事業所先行型:事業所の利用者確保を目的として集住施設を併設するもの、(3)両施設同時期設置型:両施設の利用者を共に確保することを目的とするもの。 建築形態については、両施設同時期設置型及び集住施設先行型では、1階に事業所、2階以上の階に集住施設が配置されるタイプ、事業所先行型では、両施設が隣接・または近接の敷地に別棟として設置される傾向がみられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画調書に記載した2017年度の研究計画について、設定していた研究課題(分析課題)2点について、予定どおりの研究方法を用い、予定どおりの研究成果を得たことから、本研究は概ね順調に進展していると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、前年度の調査において把握した「小規模多機能型居宅介護事業所と集住施設との併設・連携事例」を対象に、同施設の設置効果について、施設側および利用者側の2側面から明らかにする。 施設側調査においては、(1)事業所および集住施設の管理運営状況、(2)事業所と集住施設との相互利用状況、(3)両施設と地域の住民組織との関係等の実態を把握する。 利用者側調査においては、(1)利用者の属性および生活状況、(2)集住施設への移住の背景と理由、(3)移住による生活の変化および満足度、(4)近隣住民との接触・交流の状況の把握を行う。
|
Causes of Carryover |
当初の予定では、行政関係者への聞き取りを計画し、そのための調査旅費を計上していたが、その後、郵送アンケートによる方法により必要なテータの把握が可能であることが判明したことから、郵送アンケートに切り替え、当初の計画より郵送費を多めに使用したものの、結果的に未使用額が生じた。 未使用額については、2018年度に行う予定のインタビューのための調査旅費に加算して使用する予定である。
|