2018 Fiscal Year Research-status Report
日本中世折衷様建築の対外交渉史的再検討―東アジア海域史から見た建築様式の再定義
Project/Area Number |
17K06742
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
野村 俊一 東北大学, 工学研究科, 准教授 (40360193)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 折衷様 / 和様 / 大仏様 / 禅宗様 / 中世仏堂 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度はおもに中国広東省および山西省に所在する唐代から元代までの仏堂を中心とした歴史的建造物を対象に、軒下組物と台輪・頭貫・梁の組み合わせによる様々なバリエーションについて、通時的・共時的に現地で確認した。 まず、5月に行った華南地方に位置する梅庵大殿での調査では、挿肘木状の建築部材とその技法について具体的に知ることができた。10世紀後期に創建された建造物ではあるが、山西省などの華北地方とは対照的な軸部の技法が展開していることが見て取れたとともに、幾多の改造歴を加味した検討の重要性についても再認識した。 6月は晋城市と長治市を中心に、唐代から元代までの歴史的建造物を調査した。太原市以北の歴史的建造物にみる特徴が散見された共に、軸部の架構とその技法にいくつかの差異が認められた。金・元代のものを中心に軒下および隅部の技法に興味深い特徴もみられた。 10月は運城市から長治市、太原市といったルートのもと、華北地方に位置する建築群を網羅的に現地調査し、軒下組物や軸部の技法の変遷と系譜について再確認することができた。他方で、山西省南部に位置する歴史的建造物において、日本ではあまり見られない技法が展開していたことも確認できた。 今年度は中国での現地調査が思いのほか上手く進み、2019年度に予定していた調査を前倒しですすめることができた。これに伴い、大陸における歴史的建造物に関する多くの情報を得ることができた。これらの詳細は追って学術論文等でまとめていく予定である。 ほかにも、鎌倉および京都における禅院を中心とする中世の建築を対象に、その特徴を現地で確認することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
中国での調査が思いのほか上手く進んだため、2019年度に予定していた調査を前倒しで実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度までの調査進捗を鑑みて、かつ必要に応じた調査期期のアップデートを計りながら、引き続き中国および日本の歴史的建造物の調査を進める予定である。
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