2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Research on the Spatial Design and Cultural Representation of Garden House in Hue, Vietnam
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17K06743
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
三谷 徹 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (20285240)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
章 俊華 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (40375613)
鈴木 弘樹 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (50447281)
大野 暁彦 名古屋市立大学, 大学院芸術工学研究科, 講師 (00758401)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ベトナム / ガーデンハウス / 庭園 / 王宮庭園 / 扁額 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アジア圏庭園デザインの包括的理解と比較研究を見据えた基盤研究の一つである。基礎研究その1(2011-13)では、中国蘇州の私家庭園を対象とし、基礎研究その2(2014-16)では韓国別墅の研究を進めた。その知見の上に、本研究はベトナムでの調査研究を開始したものである。 古都フエを調査対象地とし、既往研究のいくつかある<宮廷帝廟の庭園>、既往調査のほとんどみあたらない私家庭園<ガーデンハウス>に着目し調査を進める。前者では、中国、韓国との比較研究のために扁額などの庭園に付された文字表象を収集分析し、後者に関しては、建築および庭園空間の実測調査と記録資料作成に時間を割く。 第一回調査では、ガーデンハウスの所在確認を行い、ガーデンハウス6件の把握、宮廷帝廟3件の扁額所在の把握がなされた。また、現地調査協力者としてフエ市文化財保全担当課(Hue Monuments Conservation Center)との関係を作り調査体制を整えた。第二回、第三回調査では、フエ市内Kim Long地区など8件のガーデンハウスの他、Phuoc Tich地区3件の調査対象も加え、実測資料を充実させる。宮廷帝廟庭園の扁額内容収集も、5件を加え、十分な資料を獲得した。2019年度より、分析考察を進め、その特徴を研究発表する。 ガーデンハウスの庭園は、祖霊を祀る仏堂の中心軸を主体に空間が構成される。建築内仏壇からの軸が庭園内の水盤と障壁によって明確に受け止められるが、障壁は小さく、敷地内の林地に視野が開ける。開口景も、点景としての障壁と背後の豊かな緑地を望むが、建築開口建具により明確に矩形に切り取られる特徴を持つ。宮廷帝廟庭園の文字表象からも、祖霊への畏敬の念が強浮く表現され、ベトナムフエの庭園様式は、歴史的な時間軸の概念を色濃く受ける様式であることが理解される。
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